睡眠薬の副作用睡眠薬は止めるタイミングが難しいお薬です。

例えば、睡眠薬を使用して3~4週間眠れる状態が続いたとしても、不眠症が治った(眠る力が回復した)のか薬のせいで眠れているのか分からないからです。

とくに、薬を飲み忘れて眠れなかった経験を持つ患者さんは、まだ不眠症が治っていないと思ってしまうことがあります。

しかしそれは、不眠症が治っていないのではなく、「反跳性不眠」という急に薬を止めたことによる反動の場合があります。 続きを読む

ベンゾジアゼピン系国連の機関である国際麻薬統制委員会の2010年の報告によると、日本は世界の主要国の中では国民1人当たりのベンゾジアゼピン系薬の使用量が突出した第1位なんです。

主要国以外のすべての国の中でもベルギーに次いで第2位になっています。その使用量はアメリカの約5倍、フランスの約3倍におよんでいます。

その原因は、日本人に不眠症の患者が多いというような正当な理由ではなく、医師が安易に睡眠薬を処方する傾向があることがもっとも大きな理由と考えられています。 続きを読む

デパス錠ベンゾジアゼピン系の睡眠薬ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、現在日本でもっとももよく使用されている睡眠薬で、作用時間の違う多くの商品が発売されています。

眠りをもたらすしっかりした効果があり、副作用が少ないのが特徴です。

日本で使われてきた睡眠薬の歴史を振り返ると、戦後すぐの1950年代はバルビツール酸系の睡眠薬がよく使われていました。

この薬は催眠効果は優れていますが副作用が大きく,耐性や依存性を形成しやすいという欠点があります。
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睡眠薬と睡眠導入剤睡眠導入剤という用語は、医師によって①睡眠薬の内でとくに寝付きを良くするお薬という意味で使う人と、②睡眠薬と同じ意味で使う人がいます。

どちらかというと①の意味で使われることが多いようです。

睡眠障害(不眠症)には、寝つきが悪い「入眠困難」、夜中に目が覚める「中途覚醒」、朝早く目が覚めてしまう「早朝覚醒」などのパターンがあります。

寝つきをよくするという意味での睡眠導入剤が使われるのは、この内の入眠困難の場合です。 続きを読む

睡眠薬を希望するかた現在日本の病院で処方されている睡眠薬は大きく分けると5つに分類できます。

それを開発が古い順に並べると次のようになります。

カッコの中は日本でよく使用されるようになった年代です。

  • バルビツール酸系(1950年代)
  • ベンゾジアゼピン系(1980年代)
  • 非ベンゾジアゼピン系(1990年代)
  • メラトニン受容体作動薬(2010年)
  • オレキシン受容体拮抗薬(2014年)

この中で眠気を催す効果がもっとも高いのは、最近できた薬ではなく、もっとも開発年代の古いバルビツール酸系の睡眠薬です。 続きを読む

現在日本で処方されている睡眠薬は次の5種類です。

  1. 日本では1950年代から使われてきた「バルビツール酸系」
    効き目は強いが副作用や依存性も強いので現在はあまり使われていません。
  2. 1980年代からよく使用されるようになった「ベンゾジアゼピン系」
    現在もっともよく使われている睡眠薬で、作用時間が異なる多くの種類があります。
  3. 1990年代から使用されるようになった「非ベンゾジアゼピン系」
    ベンゾジアゼピン系の足元がふらつく副作用を軽減したお薬です。
  4. 2010年から販売されている「メラトニン受容体作動薬」
    効き目はおだやかですが、副作用がほとんどなく安全性が高いお薬です。
  5. 2014年から販売されている「オレキシン受容体拮抗薬」
    もっとも新しいタイプの睡眠薬で、耐性・依存性がほとんどないのが特徴です。

この中で催眠効果がもっとも強いのは1の「バルビツール酸系」ですが、睡眠中の呼吸が浅くなるなどの副作用が強いので現在では特別な場合をのぞいては処方されることがありません。

飲み続けると薬が効きにくくなる耐性や依存性ができやすいリスクも大きいお薬です。

反対に催眠効果がもっとも弱いのが4の「メラトニン受容体作動薬」です。

欧米や東南アジアでは薬局でもメラトニンを手軽に購入でき、快眠や時差ぼけの解消などに一般的に使われます。

メラトニンは人の自然な睡眠リズムを作る脳内ホルモンで、メラトニン受容体作動薬はそのはたらきを強化する作用がありますが、加齢やストレス、生活習慣などで量が減って睡眠の質や量が低下するのです。

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睡眠薬の副作用睡眠薬に怖い薬というイメージがあるのは、「いちど飲み始めるとなかなか薬が止められなくなる」と言われる依存性があるからです。

現在もっとも多く処方されている睡眠薬はベンゾジアゼピン系の睡眠薬で、ハルシオンやデパス、レンドルミンなどの有名なお薬はすべてその仲間です。

このベンゾジアゼピン系の睡眠薬にも依存性が生じることがあるので、睡眠薬が怖いというイメージはもっとものように思われます。 続きを読む

全般性不安障害の治療薬全般性不安障害は、自分や家族の健康や将来が異常に不安になるという病気で、20人に1人くらいが生涯に1度は発症すると言われています。

この病気は単なる心配性と区別がつきにくいこともあり、非常につらい症状があるにもかかわらず、治療を受けずに放置されることが少なくありません。

しかし、放置すると重症化して患者のQOL(生活の質)を大きく低下させるだけでなく、うつ病やパニック障害、アルコール依存症などの他の精神疾患を併発するリスクが高くなります。

全般性不安障害は精神科または心療内科で治療します。治療法には精神療法と薬物療法の2つがありますが、ここでは薬物療法についてお話します。

全般性不安障害の薬物治療は抗うつ剤の1つのSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の服用が中心になります。<!–more—>

第三世代の抗うつ剤と呼ばれるSSRIは、セロトニン受容体にだけ選択的に作用して、脳のセロトニン濃度を高める作用があります。そのため副作用が少なく、長期間の服用でも安全性が高いお薬です。

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全般性不安障害の症状全般性不安障害は、自分や家族の健康や将来などが過剰に心配になり、不安を感じる病気です。

不安の内容は、統合失調症の人が「地下組織から命を狙われている」と思うような妄想的なものではなく、誰もが心配して当然のことです。

しかし、その程度がいわゆる心配性の域を超えているのです。

では、どこまでが心配性でどこからが全般性不安障害という病気なのでしょうか。

それは、その心配や不安が心や身体にどの程度影響を及ぼし、日常生活にどれくらい支障をきたしているかで診断されます。

まず、心配や不安が生じる頻度とそれが続く期間では、「心配や不安を感じない日よりも感じる日の方が多く、それが6カ月以上続いている」というのが全般性不安障害と診断される目安です。

また、全般性不安障害はその不安や心配の程度が大きいので、仕事に集中できない、イライラする、怒りっぽくなる、夜眠れない、などさまざまな二次的な精神症状が出てきます。

その他に、落ち着きがなくそわそわする、根気がなくなる、記憶力が低下する、気分が落ち込む、なにかをする意欲が低下する、などもよく現れる症状です。

このような症状のベースにあるのが、それがとても辛いという患者さんの気持ちです。

この辛さが長期間続くことによって、気分の落ち込みや意欲の低下がはげしくなり、うつ病を併発することが少なくないのが全般性不安障害の特徴です。

全般性不安障害は精神的な二次症状だけでなく、さまざまな身体症状もひき起こします。

もっとも多いのは、不安が続くことによる筋肉の緊張、肩こり、頭痛、頭が重い感じなどです。

めまいやフワフワする感じ、自分の身体ではないような感じがすると訴える患者さんもいます。

その他、強い不安は自律神経の失調を起こすことがあるので、それによる手足の冷えやほてり、突然の発汗、動悸や息切れなどの症状が出ることもあります。

頻尿や下痢の症状が出るケースもあります。

毎日のように続く強い不安に加えてこのような精神症状、身体症状があるようなら、単なる心配性というよりは全般性不安障害の可能性があります。

全般性不安障害は放置すると60%ともいわれる高い確率でうつ病を併発する病気です。

また、つらさを紛らわすためにお酒に頼って、アルコール依存症になるケースも少なくありません。

重症化して他の精神疾患を併発したりしないうちに専門医の診察を受けることが望まれます。

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全般性不安障害の原因全般性不安障害は、いわば心配性が病的に高じた状態です。

患者さんは自分や家族の将来などについての心配や不安がいつも頭を離れないので、眠れない、仕事に集中できない、などの辛い日々を送ることになります。

100人のうち5人前後が一生に一度はかかる病気と言われていますが、病気のくわしい原因はまだ分っていません。

しかし、全般性不安障害を含む不安障害の患者は、脳の扁桃体の作用が異常に亢進していることが分っています。

扁桃体は脳の中心部分に左右一対ある、アーモンド形の神経細胞の集まりで、喜び,悲しみ,怒り,恐怖などの感情の処理や記憶をする役目をしています。

不安障害が治療によって改善すると扁桃体の作用も正常に戻るので、この病気に扁桃体が関係しているのはたしかです。

また、全般性不安障害には、抗うつ剤のSSRIが有効です。

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