社会不安障害の原因社会不安障害とは、人前で何かをすることに強い恐怖を感じ、恥をかくことを極端に恐れる病気です。

人前で話すことはもちろん、字を書いたり、食事をするような場面でも自然なふるまいができません。

そのため、しだいに人前に出る機会を避けるようになり、社会生活に支障が生じます。

人から注目を浴びるような場面で緊張するのは当然ですが、通常の範囲の緊張ならなんとかその場を切り抜けることができ、場数を踏むことで少しずつ緊張も弱くなっていきます。

しかし社会不安障害の場合は、場数を踏むことでむしろ恥をかいた記憶が積み重なり、予期不安が大きくなって症状が悪化します。

このような社会不安障害は何が原因で生じるのでしょうか。実はその詳しい原因はまだ分っていません。

ただ、脳の神経伝達物質の1つのセロトニンを増やすSSRIという抗うつ剤を服用すると症状が改善するので、セロトニンの不足が病気の発症に関係していると考えられています。

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全般性不安障害の治療薬全般性不安障害は、自分や家族の健康や将来が異常に不安になるという病気で、20人に1人くらいが生涯に1度は発症すると言われています。

この病気は単なる心配性と区別がつきにくいこともあり、非常につらい症状があるにもかかわらず、治療を受けずに放置されることが少なくありません。

しかし、放置すると重症化して患者のQOL(生活の質)を大きく低下させるだけでなく、うつ病やパニック障害、アルコール依存症などの他の精神疾患を併発するリスクが高くなります。

全般性不安障害は精神科または心療内科で治療します。治療法には精神療法と薬物療法の2つがありますが、ここでは薬物療法についてお話します。

全般性不安障害の薬物治療は抗うつ剤の1つのSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の服用が中心になります。<!–more—>

第三世代の抗うつ剤と呼ばれるSSRIは、セロトニン受容体にだけ選択的に作用して、脳のセロトニン濃度を高める作用があります。そのため副作用が少なく、長期間の服用でも安全性が高いお薬です。

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全般性不安障害の症状全般性不安障害は、自分や家族の健康や将来などが過剰に心配になり、不安を感じる病気です。

不安の内容は、統合失調症の人が「地下組織から命を狙われている」と思うような妄想的なものではなく、誰もが心配して当然のことです。

しかし、その程度がいわゆる心配性の域を超えているのです。

では、どこまでが心配性でどこからが全般性不安障害という病気なのでしょうか。

それは、その心配や不安が心や身体にどの程度影響を及ぼし、日常生活にどれくらい支障をきたしているかで診断されます。

まず、心配や不安が生じる頻度とそれが続く期間では、「心配や不安を感じない日よりも感じる日の方が多く、それが6カ月以上続いている」というのが全般性不安障害と診断される目安です。

また、全般性不安障害はその不安や心配の程度が大きいので、仕事に集中できない、イライラする、怒りっぽくなる、夜眠れない、などさまざまな二次的な精神症状が出てきます。

その他に、落ち着きがなくそわそわする、根気がなくなる、記憶力が低下する、気分が落ち込む、なにかをする意欲が低下する、などもよく現れる症状です。

このような症状のベースにあるのが、それがとても辛いという患者さんの気持ちです。

この辛さが長期間続くことによって、気分の落ち込みや意欲の低下がはげしくなり、うつ病を併発することが少なくないのが全般性不安障害の特徴です。

全般性不安障害は精神的な二次症状だけでなく、さまざまな身体症状もひき起こします。

もっとも多いのは、不安が続くことによる筋肉の緊張、肩こり、頭痛、頭が重い感じなどです。

めまいやフワフワする感じ、自分の身体ではないような感じがすると訴える患者さんもいます。

その他、強い不安は自律神経の失調を起こすことがあるので、それによる手足の冷えやほてり、突然の発汗、動悸や息切れなどの症状が出ることもあります。

頻尿や下痢の症状が出るケースもあります。

毎日のように続く強い不安に加えてこのような精神症状、身体症状があるようなら、単なる心配性というよりは全般性不安障害の可能性があります。

全般性不安障害は放置すると60%ともいわれる高い確率でうつ病を併発する病気です。

また、つらさを紛らわすためにお酒に頼って、アルコール依存症になるケースも少なくありません。

重症化して他の精神疾患を併発したりしないうちに専門医の診察を受けることが望まれます。

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全般性不安障害の原因全般性不安障害は、いわば心配性が病的に高じた状態です。

患者さんは自分や家族の将来などについての心配や不安がいつも頭を離れないので、眠れない、仕事に集中できない、などの辛い日々を送ることになります。

100人のうち5人前後が一生に一度はかかる病気と言われていますが、病気のくわしい原因はまだ分っていません。

しかし、全般性不安障害を含む不安障害の患者は、脳の扁桃体の作用が異常に亢進していることが分っています。

扁桃体は脳の中心部分に左右一対ある、アーモンド形の神経細胞の集まりで、喜び,悲しみ,怒り,恐怖などの感情の処理や記憶をする役目をしています。

不安障害が治療によって改善すると扁桃体の作用も正常に戻るので、この病気に扁桃体が関係しているのはたしかです。

また、全般性不安障害には、抗うつ剤のSSRIが有効です。

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zenpanfuan_genin 全般性不安障害とは不安障害の1つで、不安障害にはこの他にパニック障害と社交性不安障害があります。

パニック障害にはパニック発作(特定の場所に来ると突然激しい動悸におそわれるなど)という特徴的な症状があり、社交性不安障害にも人前に出ると手が震えるなどの分りやすい症状があります。

それに比べると全般性不安障害には「極端な心配性」という以外に特徴的な症状がありません。

誰でも自分や家族の健康や将来を心配するし、不安を抱くこともあります。

全般性不安障害も不安の内容は同じで、誰かが自分の命を狙っているなどという妄想的な不安ではありません。

つまり心配するものもっともなことを心配しているわけで、単なる心配性との区別が難しい病気です。

心配性と全般性不安障害という病気を区別する目安は、その心配や不安がどの程度日常生活に不利益を与えているかということです。

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昼食うつ定年退職した夫に妻が手渡したものは離婚届の書類だった、というのは「熟年離婚」をテーマにしたドラマの1シーンですが、この熟年離婚の原因の1つになっている「昼食うつ病」という病気をご存知でしょうか?

これは、夫の定年を機に妻に発症するうつ病です。夫が定年になって昼も家にいるようになると、妻は朝と晩だけでなく昼食も用意しなければいけません。

その負担がきっかけで発症するのが「昼食うつ病」です。

そう聞くと、昼食を作るくらいの負担でうつ病になるかな? 「昼食うつ病」というのは象徴的な表現で、1日中夫が家にいるようになったのがうっとおしいのではないか、と思う人が多いようです。

また、そもそも夫が嫌いだからじゃないか、と思う人もいます。

しかし、これはどちらも間違いです。とくに、夫が嫌いだから(夫からすると俺のことが嫌いだから)という誤解は、昼食うつ病がきっかけで本当に熟年離婚してしまうという悲劇を生むことがあります。

何十年も夫と子供の朝食と夕食を作り続けてきた主婦にとって、昼食は唯一の手抜きが許される食事です。

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うつ病と妄想精神疾患には症状として妄想をともなうものが少なくありませんが、うつ病の症状は気分の落ち込みや意欲の低下がおもで、妄想が起きることは多くはありません。

しかし、ときにはうつ病に特有の妄想が起きることがあります。それは誇大妄想の逆の「微小妄想」といわれるもので、微小妄想には①心気妄想、②罪業妄想、③貧困妄想の3つがあります。

心気妄想は、自分はがんなどの重い病気にかかっていると思い込む妄想です。お腹が痛いと胃がんではないか、頭が痛いと脳梗塞の前兆ではないかなど、ちょっとした体の不調を重大な病気に結びつけて考えて不安を募らせます。

病院の検査結果などを元に医師や家族が何ともないと説明しても、「本当のことを言って絶望させないように皆で嘘を言っているのだ」と考えるので、説得は効果がありません。

罪業妄想は、過去のささいなミスなどで過剰に自分を責め、会社の業績が上がらないのはすべて自分のせいだとか、そのために自分は罰せられるとか思い込む妄想です。

患者さんの口からは「申し訳ない」という言葉がひんぱんに出で、「その罪を償わなくてはいけないから家族とはもう一緒に暮らせない」などと言うこともあります。

貧困妄想は、実際には預貯金などがあるのに、貧乏だと思い込んで将来を悲観する妄想です。

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冬季うつ冬季うつ病は秋から冬に発症して春には治ってしまううつ病です。

うつ病の1つのタイプなので、抑うつ症状など多くの症状が共通していますが、ふつうのうつ病とは異なっている点も多くあります。

そのため、うつ病とは認識されないままに重症化するケースもあります。

まず共通の症状を確認しておくと、①気分の落ちこみ、②楽しいとか嬉しいという感情の低下、③食欲の低下あるいは増加、④不眠または過眠、⑤罪悪感、⑥自殺念慮、⑦集中力、思考力の低下、⑧焦燥感、⑨疲労感、意欲の低下、などです。

このうち、冬季うつ病では食欲の低下よりは増加が、不眠よりは過眠の傾向が多く出るのが特徴です。

うつ病や冬季うつ病の患者にこれらの症状がすべてあるわけではありませんが、このうち5つ以上の症状が2週間以上続くことがうつ病と診断する基準になっています。

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タバコとうつ病タバコを吸うと気分がスッキリするのは、ニコチンが脳の神経伝達物質であるドパミンやセロトニンの分泌を活性化するからです。

うつ病はセロトニンの不足によって起きるので、一見すると喫煙によってうつ病の発症を防ぐことができそうに思えます。

しかし、さまざまな研究によると、結果はむしろその逆です。禁煙補助薬のチャンピックスを発売しているファイザー社のホームページには、喫煙者は非喫煙者の2.9倍のうつ病発症リスクがあるとする海外の調査が紹介されています。

また、東京近郊に住む労働者約2,800人への調査では、1.65倍喫煙者のうつ病発症率が高かったという結果も紹介されています。

その理由としては、たしかにニコチンには気分を安定させるセロトニンの分泌を瞬間的に高める作用がありますが、常用しているとニコチンの力を借りなくては脳内のドパミンやセロトニン濃度の調節ができなくなることが考えられます。

これがニコチン依存症で、ニコチンへの依存は脳内物質のバランスを不安定にしてうつ病のリスクを高めるのです。

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抗うつ剤うつ病で精神科や診療内を受診する患者さんの中には、「なるべく抗うつ剤などお薬を使わずに治したい」と希望される人がいます。

うつ病かなと思ってもなかなか病院を受診するふんぎりがつかない人が多い中で、きちんと治療する決断をされたことは賢明な選択ですが、「お薬を使わずに治したい」ということにこだわると治療の効果が上がらない場合があります。

その説明の前に、もし診察の時に医師があなたに「抗うつ剤を飲んでみますか?」と聞いてきたらどう思うかを考えてみてください。

そんなこと聞かれても困るし、何とも頼りないお医者さんだと思うはずです。

うつ病の治療には患者さんの協力が必要なので治療方針について医師から相談されることはありますが、薬を飲むかどうか、どんな薬を飲むかは医師が決めることです。

医師が患者さんと相談するのは、例えば「お薬だけよりもカウンセリングを受けた方が良いと思いますが、その時間は取れますか?」というようなことです。

カウンセリングや認知療法などの心理療法が効果的だと思っても、薬物療法よりは時間も費用もかかるので医師の一存では決められないからです。

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