うつ病は自然と治るのか?という疑問の背景には、できれば精神科などを受診せずに治したいという気持ちがあるのではないでしょうか。
精神疾患に対する偏見は少なくなってきたとはいえ、まだかなり敷居の高い受診科であることは変わらないからです。
また、病院に行かないで治せないかと思う人には、症状が軽症だという自覚があるようです。まだなんとか会社にも行けているし、病院に行かなくても治せるのでないかと思うのです。
しかし、こういう考えには大きなリスクがあります。その1つはうつ病を含む精神疾患は身体の病気よりも自然治癒が働きにくいということです。
精神疾患でもヒトが持っているホメオスタシス(恒常性を保とうする力)は働きますが、身体的な疾患に作用する免疫力や組織の修復能力に相当するものはないからです。
つまりうつ病は放置すると良い方向へ向かうより、悪い方向へ向かうことが多い病気なのです。
もう1つのリスクは、うつ病は患者さんに「認識のゆがみ」を生じさせる病気だということです。
つまり、いろいろなことについて間違った判断をしてしまいやすい病気なのです。
「うつ病はこころの風邪」という言葉は、2000年前後に初めて
抗うつ剤は脳内のセロトニンやノルアドレナリンの濃度を上げるお薬です。
マタニティーブルーと産後うつ病はどちらも出産後におきる気分の落ちこみですが、マタニティーブルーはthe 3rd day blue(産後3日目の憂うつ)とも言われる一時的な心の変調で、とくに治療をしなくても自然に良くなります。
うつ病がたいへんつらい病気で重症になると自殺するケースもあるということを、私たちは一般論としては知っています。