拒食症(神経性無食欲症)の患者さんにいちばん持ってほしい考え方は、「私は太っている」という認識や「太るのが怖い」という気持ちそのものが病気の症状だということです。
そう言われてもすぐには納得できないでしょうが、拒食症の治療では患者さん本人が病識(自分は病気だという自覚)をもち、ご家族や医師と協力して病気を克服しようという気持ちがぜひ必要です。
女性なら誰でも他人に太っていると言われると気にするし、そう言われた経験は心の傷になります。
しかし、二度とそんなことを言われないように絶対に太らないようにしようという気持ちがあまりに強いと、客観的な事実とは関係なしに「私は太っている」「もっとやせなければならない」という強迫観念が形成されてしまうことがあります。
それは、強迫性障害の人がドアの鍵をかけたことを何度確認しても、つまり施錠したことは客観的には明白でも、気になってまた確認しに戻らなければ気がすまない、というのと似ています。