社会不安障害は、人前で失敗して恥をかくことを強く恐れて、人前で何かをすることに強い緊張と不安を感じる病気です。
10代で発症することの多い病気ですが、治療が遅れると重症化して、うつ病などを併発するケースが少なくありません。
治療は精神科または心療内科で薬物療法や精神療法を行ないますが(両方を並行して行うこともあります)、ここでは薬物療法についてお話します。
社会不安障害の治療に使われるお薬の第一選択はSSRI(選択的セロトニン再取込阻害薬)です。
これは抗うつ剤として有名なお薬で、20世紀末に登場した副作用が少ない新しいタイプの抗うつ剤です。
SSRIは脳の神経伝達物質の1つのセロトニン受容体に作用して、脳内のセロトニン濃度を高める働きがあります。
それによってうつ病では気分の落ちこみが改善し、社会不安障害では不安な気持ちが軽減します。
脳内の神経伝達物質にはセロトニンの他に、ドパミン、ノルアドレナリンなどがありますが、セロトニンは怒りや不安、悲しみなどの感情をやわらげて気分を安定させる働きをしています。