睡眠薬の依存性精神科で処方する睡眠薬や抗不安薬は、おもにベンゾジアゼピン系と呼ばれる中枢神経に作用するお薬です。

ベンゾジアゼピン系の薬物には①催眠作用②抗不安作用③筋肉弛緩作用④抗けいれん作用の4つの作用があり、精神科の他に内科や整形外科でも広く処方されています。

不眠や不安の症状に悩んで精神科を受診する患者さんの中には「なるべく薬は飲みたくない」という人が少なからずいます。

それは、睡眠薬や抗不安薬には依存性があっていちど飲み始めると止められなくなる、というイメージがあるからです。 続きを読む

睡眠薬の副作用睡眠薬は止めるタイミングが難しいお薬です。

例えば、睡眠薬を使用して3~4週間眠れる状態が続いたとしても、不眠症が治った(眠る力が回復した)のか薬のせいで眠れているのか分からないからです。

とくに、薬を飲み忘れて眠れなかった経験を持つ患者さんは、まだ不眠症が治っていないと思ってしまうことがあります。

しかしそれは、不眠症が治っていないのではなく、「反跳性不眠」という急に薬を止めたことによる反動の場合があります。 続きを読む

デパス錠ベンゾジアゼピン系の睡眠薬ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、現在日本でもっとももよく使用されている睡眠薬で、作用時間の違う多くの商品が発売されています。

眠りをもたらすしっかりした効果があり、副作用が少ないのが特徴です。

日本で使われてきた睡眠薬の歴史を振り返ると、戦後すぐの1950年代はバルビツール酸系の睡眠薬がよく使われていました。

この薬は催眠効果は優れていますが副作用が大きく,耐性や依存性を形成しやすいという欠点があります。
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睡眠薬を希望するかた現在日本の病院で処方されている睡眠薬は大きく分けると5つに分類できます。

それを開発が古い順に並べると次のようになります。

カッコの中は日本でよく使用されるようになった年代です。

  • バルビツール酸系(1950年代)
  • ベンゾジアゼピン系(1980年代)
  • 非ベンゾジアゼピン系(1990年代)
  • メラトニン受容体作動薬(2010年)
  • オレキシン受容体拮抗薬(2014年)

この中で眠気を催す効果がもっとも高いのは、最近できた薬ではなく、もっとも開発年代の古いバルビツール酸系の睡眠薬です。 続きを読む

睡眠薬の副作用睡眠薬に怖い薬というイメージがあるのは、「いちど飲み始めるとなかなか薬が止められなくなる」と言われる依存性があるからです。

現在もっとも多く処方されている睡眠薬はベンゾジアゼピン系の睡眠薬で、ハルシオンやデパス、レンドルミンなどの有名なお薬はすべてその仲間です。

このベンゾジアゼピン系の睡眠薬にも依存性が生じることがあるので、睡眠薬が怖いというイメージはもっとものように思われます。 続きを読む

パキシルCR錠パキシルは日本では2000年から発売されたSSRI(選択的セロトニン再取込阻害薬)に属する抗うつ剤です。

SSRIは副作用が少なく安全なお薬として、現在主流になっている抗うつ剤ですが、その中でパキシルはキレの良い抗うつ効果で人気があり、世界でもっとも使用されているSSRIと言われています。

しかし、パキシルは効果が強い半面、SSRIとしては副作用やお薬を止めるときの離脱症状が強いというデメリットがあります。

その欠点を改良したのが2012年に発売されたパキシルCRです。

CRとはControlled Releaseの略で、コントロールされた(急激ではない)リリース(効き目の発現)という意味です。

抗うつ剤を飲み始めるときに副作用が出やすいのは、お薬の成分に身体が慣れていないことが理由です。

反対に減薬するときに離脱症状が出やすいのは、お薬に慣れた身体がお薬を求めてしまうからです。

パキシルCRは服用後にゆっくり溶けてゆっくり身体に吸収されるので、成分の血中濃度が高くなるのも低くなるのもゆるやかです。

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パロキセチンパロキセチンは、日本でも世界でも広く使用されている抗うつ剤パキシルのジェネリック医薬品です。

SSRIの1つであるパキシルは日本では2000年から販売されていますが、特許期間が終了して現在は、日本製のパキシルジェネリック、つまりパロキセチン錠が多くの製薬会社から発売になっています。

ジェネリックとは一般名(成分名)という意味で、パキシルと同じ成分のお薬はすべてパロキセチン錠といいます。

しかしそれではA社の製品かB社の製品か区別がつかないので、「パロキセチン錠明治」、「パロキセチン錠トーワ」などと、後ろにメーカー名を付け加えるのがふつうです。

ジェネリック医薬品の最大の特徴はお薬の価格が安いことです。

国民健康保険の財政負担に苦しむ国がジェネリックをすすめるのももちろんそれが理由です。

日本製のパロキセチン錠は先発薬のパキシルより30~40%オフの価格になっています。

日本の病院では処方していませんが、パキシルジェネリックにはインドの薬品メーカーの製品も数多くあります。

インドは「世界の薬工場」と言われるほど医薬品、とくにジェネリック医薬品の製造が盛んな国です。

これはインドには最近まで医薬品の成分特許を認めないという特殊な特許法があったからです。

インド製のジェネリックは日本など諸外国のジェネリックより大幅に低価格なのが特徴で、「国境なき医師団」などの国際的医療ボランティアはインド製の良質で低価格なジェネリック医薬品なしでは活動が成り立たないと言われています。

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抗うつ剤のパキシル抗うつ剤は、飲み始めは徐々に用量を増やしていき、症状が回復してきたら徐々に用量を減らして行くお薬です。

SSRI(選択的セロトニン再取込阻害薬)に属するパキシルは抗うつ作用が強い半面、減薬・断薬にともなう離脱作用もSSRIとしては強めなので、注意が必要です。

パキシルを減薬・断薬するときに大切なことは、①病気の回復が充分でないうちに急いで減薬を開始しない、①症状の回復が見られたら、離脱症状の出かたを見ながら少しずつ減薬していく、②自己判断で減薬をしないで医師の指示に従う、の3つです。

こう書くと当然のことのようですが、実際には強い離脱症状に苦しむケースの多くは、患者さんが自己判断で減薬を急いだことが原因です。

まず、抑うつ症状から充分に回復しないうちに減薬を始めると、離脱症状が強く出ます。

抗うつ剤は脳内のセロトニン濃度を高めるお薬ですが、病気が回復して自力でセロトニンの濃度を保てるようにならないうちにお薬を減らすと、離脱症状が強く出るだけでなく、抑うつ症状がぶり返すことになります。

うつ病の治療には少なくとも半年から1年はかかります。お薬を止めるのを急ぐと結局治療期間が長びくことになりやすいのです。

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パキシルと眠気パキシルは新しいタイプの抗うつ剤のSSRIと呼ばれるお薬の1つです。

SSRI(選択的セロトニン再取込阻害薬)はその名前の通りセロトニンに集中的に作用する薬なので、それ以前の抗うつ剤に比べると副作用が少ないのが特徴です。

したがってパキシルも三環系、四環系抗うつ剤よりも副作用は少なめですが、SSRIの中では「効果も強いが、副作用も強い」という位置づけになっています。眠気の副作用もSSRIの中では多い方です。

SSRIはセロトニン受容体に集中的に作用するとはいっても、他の器官にも多少の影響はおよぼし、それが副作用として現れます。

パキシルで眠気が出るのは、抗ヒスタミン作用とα1受容体遮断作用という2つの副作用があるからです。

抗ヒスタミン作用とは、花粉症の薬で聞いたことがあると思いますが、ヒスタミン受容体をブロックして炎症などを抑える作用です。

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パキシルとお酒「酒なくてなんでおのれが桜かな」という言葉があるように、自分がみじめに思えるような気分の落ち込みをまぎらわすには、お酒はうってつけのように思えます。

そんなわけで、もともとお酒が好きな人は、うつ病になるとお酒の量が増える傾向があります。

しかしこれは危険なコースで、うつ病を悪化させる上にアルコール依存症を併発するリスクがあります。

とくに、うつ病のお薬を服用しながらお酒も飲むのは良くありません。抗うつ剤とアルコールはたいへん相性が悪いからです。 続きを読む