うつ病で精神科や診療内を受診する患者さんの中には、「なるべく抗うつ剤などお薬を使わずに治したい」と希望される人がいます。
うつ病かなと思ってもなかなか病院を受診するふんぎりがつかない人が多い中で、きちんと治療する決断をされたことは賢明な選択ですが、「お薬を使わずに治したい」ということにこだわると治療の効果が上がらない場合があります。
その説明の前に、もし診察の時に医師があなたに「抗うつ剤を飲んでみますか?」と聞いてきたらどう思うかを考えてみてください。
そんなこと聞かれても困るし、何とも頼りないお医者さんだと思うはずです。
うつ病の治療には患者さんの協力が必要なので治療方針について医師から相談されることはありますが、薬を飲むかどうか、どんな薬を飲むかは医師が決めることです。
医師が患者さんと相談するのは、例えば「お薬だけよりもカウンセリングを受けた方が良いと思いますが、その時間は取れますか?」というようなことです。
カウンセリングや認知療法などの心理療法が効果的だと思っても、薬物療法よりは時間も費用もかかるので医師の一存では決められないからです。
うつ病は自然と治るのか?という疑問の背景には、できれば精神科などを受診せずに治したいという気持ちがあるのではないでしょうか。
「うつ病はこころの風邪」という言葉は、2000年前後に初めて
抗うつ剤は脳内のセロトニンやノルアドレナリンの濃度を上げるお薬です。
マタニティーブルーと産後うつ病はどちらも出産後におきる気分の落ちこみですが、マタニティーブルーはthe 3rd day blue(産後3日目の憂うつ)とも言われる一時的な心の変調で、とくに治療をしなくても自然に良くなります。
うつ病がたいへんつらい病気で重症になると自殺するケースもあるということを、私たちは一般論としては知っています。