過食症過食症は心療内科や精神科で治療する心の病気です。

心の病気の特徴は、客観的にみると明らかに事実に反することを事実と思い込んでしまうことで、これを「認知のゆがみ」といいます。

過食症に典型的な認知のゆがみは、身体像つまりボディイメージのゆがみです。これは客観的には太っているとは言えない、あるいはむしろやせているのに自分は太っていると思ってしまうことです。 続きを読む

過食症で嘔吐過食症のもっとも特徴的な症状は言うまでもなく「食べ過ぎ」ですが、具体的にどれくらい食べれば過食なのかという基準はありません。

食べる量は明かに過剰なのですが、むしろ症状としては、食べ方や食べる時の心理状態に現れます。過食症に典型的な食べ方は、味わって食べるというよりは、口に詰め込むという感じです。

また、食べている時の心理は、「美味しくはないけど食べるのを止められない」「食べてはいけないという罪悪感があるのに、食べ物を口に入れる手が止まらない」などが典型的です。

なかには、無理に食べるのを止めようとすると過呼吸になる、涙があふれてくるなどの、身体症状が出る人もいます。 続きを読む

過食症過食症の人に太ることへの強い恐怖心があるというと奇妙に聞こえるかもしれませんが、過食は拒食の反動であることが多く、ダイエットのストレスなどをきっかけに発症するケースがほとんどです。

過食症の人は、太ることへの過剰な恐怖心があるにもかかわらずなぜ過食をしてしまうのでしょうか?

そこには、太ることへの恐怖心、食べることへの罪悪感がかえって過食につながるという、倒錯した関係があります。

モデル体型という言葉がありますが、太っているようには見えない人でも、若い女性の多くがもっとやせたいという願望を持っています。 続きを読む

過食症で嘔吐過食症は単なる食べ過ぎの傾向ではなく、心療内科や精神科の医師の力を借りて治療しなければならない病気です。

では食べ過ぎと過食症はどこが違って、どんなときに過食症と診断されるのでしょうか。

まず、たまにドカ食いをしてしまうというのではなく、日常的にふつうよりも明らかに多い量の食事をしていることが、過食症の診断基準の1つです。

そして、そのときに食べるのを抑制できないという感覚があることも診断基準になります。 続きを読む

拒食症のチェック拒食症は、①体重を増やすことに対する強い恐怖があり、②健康を害するほどやせているのに、③極端に食事を制限し続ける病気です。

同時に、④やせているのにまだ太っているという身体像(ボディイメージ)のゆがみがあり、⑤やせすぎていることの危険性に対する認識の欠如がともなっています。

このような要件が揃えば拒食症と診断されますが、見た目にも分りやすい体重の基準は、BMIが17.5以下となっています。これは身長150cmでは体重が39.3kg以下の人が該当します。 続きを読む

睡眠薬の副作用睡眠薬は止めるタイミングが難しいお薬です。

例えば、睡眠薬を使用して3~4週間眠れる状態が続いたとしても、不眠症が治った(眠る力が回復した)のか薬のせいで眠れているのか分からないからです。

とくに、薬を飲み忘れて眠れなかった経験を持つ患者さんは、まだ不眠症が治っていないと思ってしまうことがあります。

しかしそれは、不眠症が治っていないのではなく、「反跳性不眠」という急に薬を止めたことによる反動の場合があります。 続きを読む

睡眠薬を希望するかた現在日本の病院で処方されている睡眠薬は大きく分けると5つに分類できます。

それを開発が古い順に並べると次のようになります。

カッコの中は日本でよく使用されるようになった年代です。

  • バルビツール酸系(1950年代)
  • ベンゾジアゼピン系(1980年代)
  • 非ベンゾジアゼピン系(1990年代)
  • メラトニン受容体作動薬(2010年)
  • オレキシン受容体拮抗薬(2014年)

この中で眠気を催す効果がもっとも高いのは、最近できた薬ではなく、もっとも開発年代の古いバルビツール酸系の睡眠薬です。 続きを読む

睡眠薬の副作用睡眠薬の副作用でもっとも注意したいのは、長期服用と大量服用によって形成される「耐性」と「依存性」です。

耐性とはお薬に身体が慣れてしまって同じ服用量ではだんだん効き目がわるくなることです。

依存性とはやはりお薬に身体が慣れることで、服用を中止すると心身に変調が現れることです。

現在主流になっている「ベンゾジアゼピン系(デパスなど)」や「非ベンゾジアゼピン系」の睡眠薬にも耐性と依存性が出る可能性があります。 続きを読む

拒食症拒食症(神経性無食欲症)の患者さんにいちばん持ってほしい考え方は、「私は太っている」という認識や「太るのが怖い」という気持ちそのものが病気の症状だということです。

そう言われてもすぐには納得できないでしょうが、拒食症の治療では患者さん本人が病識(自分は病気だという自覚)をもち、ご家族や医師と協力して病気を克服しようという気持ちがぜひ必要です。

女性なら誰でも他人に太っていると言われると気にするし、そう言われた経験は心の傷になります。

しかし、二度とそんなことを言われないように絶対に太らないようにしようという気持ちがあまりに強いと、客観的な事実とは関係なしに「私は太っている」「もっとやせなければならない」という強迫観念が形成されてしまうことがあります。

それは、強迫性障害の人がドアの鍵をかけたことを何度確認しても、つまり施錠したことは客観的には明白でも、気になってまた確認しに戻らなければ気がすまない、というのと似ています。

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拒食症の症状拒食症のもっとも特徴的な症状は、食事量の極端な低下です。

これはダイエットと見かけは同じですが、拒食症の場合は明かに健康に害をおよぼすくらいに食事の量が減り、しかも本人はそれが健康を損ないつつあることを認めません。

このような症状の根本にあるのは、食べるべきではないという気持ち、食べることに対する一種の罪悪感です。

こういう気持ちが生じる原因は太ることに対する過剰な恐怖感ですが、それだけではなく、客観的に見るとむしろやせているのに自分は太っていると思い込む認識のゆがみ、やせてきれいにならないと他人に認めてもらえないという自尊感情の低さが関係していると考えられます。

拒食症の患者さんは食べる量が少ないというだけでなく、食卓に着いてもなかなか食べ始めようとせず、食べるときは異常に食物を細かく刻む傾向があります。

また、肥満恐怖から1日に何度も体重を計り、少しでも増えていると、食べた後に喉に指を入れて吐く、下剤を服用するなどの行動をとります。

あまり食べないのに運動量を増やすという場合もあります。

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