パキシルはSSRI(選択的セロトニン再取込阻害薬)という新しいタイプの抗うつ剤の1つです。
SSRIは脳内物質のセロトニンに集中的に作用するため、それまでの主流だった三環系抗うつ剤より副作用が少ないのが特徴です。
しかし、SSRIも脳内のセロトニン受容体以外にも若干の作用をおよぼすので、それによる副作用が生じます。
とくにパキシルはSSRIの中ではもっとも抗うつ効果が強い半面、副作用も強くなっています。
SSRIに共通の頻度が高い副作用は、①抗コリン作用(口の渇き、便秘、閉尿)、②吐き気③抗ヒスタミン作用(眠気)、④α1受容体遮断作用(血圧の低下によるふらつきやめまい)の4つです。
どの副作用がどの程度出るかは個人差が大きいのですが、平均するとパキシルはこれらの副作用が他のSSRIよりは強めに出ます。
この他のSSRIの副作用としては、⑤体重増加、⑥セロトニン2刺激作用(不眠)、⑦性機能障害(性欲減退、勃起不全)などがあります。
眠気も出るし、不眠も出ることがあるというのはやっかいですが、人によって副作用の出かたはいろいろです。
抗うつ剤は効果よりも先に副作用が出るのが困った特徴ですが、多くの場合は飲み始めて1~2週間すると副作用は軽減します。
したがって副作用がなんとかガマンできる程なら、そのままようすを見ることになりますが、症状が強かったり、2週間以上たっても軽減しない場合は、何らかの対策が必要になります。
副作用を軽減するための対策としては、①服用量を減らす、あるいは増量のペースをゆるやかにする、②抗うつ剤の種類を変える、③副作用を軽くする薬を服用する、などの方法があります。
パキシルは通常は10mgから服用を開始して、7~10日間くらい間隔を空けて10mgずつ増量していきます。
しかし、副作用がきつい場合はまず5mgに減薬して、そこから5mgずつ小刻みに増量するなどの対策が取られます。
パキシルから他の抗うつ剤に変える場合は、まずSSRIの中での変更が検討されます。
ジェイゾロフトやレクサプロは同じSSRIですが、どの副作用もパキシルよりは少なめです。
しかし、だからと言ってレクサプロがパキシルより良い抗うつ剤だとは言えません。パキシルでないと充分な効果が出ない場合はめずらしくないからです。
眠気やめまいなどの副作用は、SSRIよりSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取込阻害薬)が少なめだと言えます。
もう1つの副作用の対策は、吐き気がしたら吐き気を止める薬をのむなど、対症療法の薬を使用することです。
とくに飲み始めの副作用に対しては有効な対策です。医師に相談すれば、便秘、喉のかわき、めまいなどによく効くお薬を教えてくれます。
勃起不全にはバイアグラなどのED治療薬が有効です。
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