メイラックスの緊急使用メイラックスはベンゾジアゼピン系の抗不安薬ですが、その中でもっとも半減期が長い超長時間作動型に属します。しかし、一方では1時間未満で薬の効果がピークになるという即効性もあります。

頓服は、痛みが出たときに飲む鎮痛剤や、乗り物酔いしそうなときにあらかじめ飲んでおく酔い止めなど、応急処置として臨時に服用するお薬です。

したがって頓服として使う薬は、即効性があり、効果を実感できることが必要です。

メイラックスはしっかりした効果があり即効性もあるので、頓服として使用することは可能ですが、通常はそのような使い方はしません。

その理由は、頓服として使うには作用時間が長すぎて、副作用が出た場合はそれも長引いてしまうからです。

メイラックスは最高血中濃度到達時間が0.8時間で、服用後15分くらいで効果が現れます。この点では頓服としてふさわしい特徴ですが、半減期が122時間と非常に長いのが頓服としてはふさわしくない点です。

作用時間の長い薬は、何日間か服用して効果を積み重ねることで効き目が安定します。

これを定常状態いい、服用開始から定常状態に達するまでに「半減期×5」という時間を要します。メイラックスの半減期は122時間なので、定常状態になるには服用開始から610時間(約25日間)かかります。

メイラックスは1日1回決まった時間(通常は夜)に毎日服用して、不安を軽減するベースを作っていくお薬です。

メイラックスを服用しながら必要なときに頓服も服用するということもありますが、その場合はもっと半減期の短い短時間作動型のお薬を使うのが普通です。

頓服としてよく使われる抗不安薬には、短時間型のデパス、中時間型のワイパックスなどがあります。どちらも効果は強めです。

抗不安薬の頓服は、パニック障害の患者さんがパニック発作を起こしたときなどの救急処置のほか、結婚式のスピーチなど緊張しそうなイベントの前にあらかじめ服用しておくなどの使い方があります。

メイラックスの抗不安作用の強さは「中からやや強め」という位置づけですが、その他に中程度の催眠作用、弱い筋弛緩作用、中程度の抗けいれん作用があります。

何かの事情でメイラックスを頓服として使用するときは、眠気の副作用が出る可能性があるので注意が必要です。

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