非定型うつ病とは、古典的なうつ病とはまた違った状態になります。主な症状としては、①気分の反応性(実際に楽しい事や、楽しいだろうと予測できることがあると気持ちが明るくなる)、
②極端な体重の増加・または食欲の増進/過眠/鉛のように体重くなる感覚/長期に亘って、対人関係で相手から拒絶をされることへ敏感に反応してしまうため、社会的または職業的な問題を引き起こしている/の、4つの項目から、2つ以上の症状が当てはまることが挙げられています。
非定型うつ病の人は、誤解されることが多くなっています。それは「気分の反応性」があるからです。
自分が嫌なことはできないけれど、自分がやって楽しいことはできる。そんな様子を周りの人は「わがままなんじゃないか」「甘えているんじゃないか」と誤解することがあります。
また、「長期に亘って人からの拒絶に対して敏感に反応する」という特徴も持っています。そのため、「もしかしたらまた嫌われるんじゃないか」「何をやっても上手く行かないんじゃないか」とびくびくしてしまうことがあります。
周りの人からしたら、何気ない一言でも傷ついてしまうので、言葉のかけ方を難しく感じたり、どのように対応して良いのかが分からなくなるなど、本人への対応に困ってしまう事が多いと思います。
今日はそのような特徴を持っている非定型うつ病の人に対応する際の、4つのポイントについてご紹介させていただきます。
一つ目は、「わがままで甘えている」という捉え方をかえることです。非定型うつ病の人は、会社を休んで、好きな旅行にいって、その写真をうっかりSNSにあげてしまうことがあります。
本人としては、少しでも気分転換と思っている行動が、周りから見たら「仮病で休んで遊んでいる」「頑張れば会社に来られるんじゃないか」と評価してしまう事が多くあります。
しかし、これは症状の1つであり、状況によって気分が大きく変動します。そのため、前日まで旅行を楽しんでも、翌日の仕事には行けないと言うことはよくあるのです。
非定型うつ病の人は、嫌なことでも頑張りたいと本当に思っています。しかし、実際の場面になると出来ないのです。そのため、 “症状の1つなんだ”と思って、あまり本人を評価しないようにしてみてください。
2つ目のポイントは、適度に厳しく接することです。よく、うつ病の人には優しくしなければいけないとか、厳しくしてはいけないと言われることがありますが、非定型うつ病の人の場合は違います。
ある程度やるべきことが明確であったり、責任をもたされることで状態が改善する場合があります。
過度に厳しくする必要はありませんが、非定型うつ病で休養している間でも、例えば家族としての責任や役割は果たすように伝えることが大切になってきます。その際、本人に対して感情的になるのではなく、行動面で評価をしてみてください。
例えば、気持ちをぶつけるのではなく、「あれをやってください」と伝えて、本人がイライラしながら取り掛かっても、そこには触れない。
そして、頼んだことをやってくれたことに対してはお礼を伝える。その姿を見て「早くやって」とか「嫌ならやらなくてもいい」などと、こちらの気持ちをぶつけることは、あまり得策ではありません。行動に注目して評価していきましょう。
3つ目のポイントは、人から拒絶されるのではないかと言う敏感な様子にはあまり取り合わないことです。
人から拒絶されるのではないかと言うことを恐れていますが、一方でそんな自分に傷つき、相手を傷つけたのではないかと不安になってしまいます。
そのため、非定型うつ病の人が、落ち込んでいようが、元気でいようが、そんなあなたからの影響を受けて不安定になることはありませんという周りの人の態度が、本人の安定感に繋がります。
また、不安定になっている時期は、こちらが何を言っても否定的にとる時期でもあります。そのため、こちらが何か言うことに対して相手が傷ついたり怒ってしまうことがあります。
そういうときは、「相手を傷つけようとしたり、怒らせようとして言っているわけではない」ことと、「それはもしかしたら病気の症状なんじゃないか」ということを伝えてみてください。
あなたのせいではなく、病気で一時的にあなたがそうなっているんだと周りが伝えることで、本人も自分を責めることなく安心する方向に繋がります。
それでも傷ついてしまったり、怒ってしまう時はあると思いますが、“そういう時期なんだな”と思って受け流すくらいの気持ちを持てると良いですね。
4つ目のポイントは、生活リズムを保つことです。不規則な生活はストレスを増悪させます。非定型うつ病の人が陥りやすいのが、睡眠リズムの乱れです。
そのため、規則正しい睡眠リズムを作って、食事も3食きちんと摂るようにして、日中は散歩などの活動をすることを継続していきましょう。
本人だけではなかなか達成することが出来ないので、周りのサポートが必要です。こまめな声かけや、外出に誘うなど、周りの人しかできないことがたくさんあります。
これらのポイントを踏まえた対応を実践できれば、薬の効果が大きくは期待できない非定型うつ病の人にとっては何よりも良い治療になります。
周りのサポートがとても大切になってくる病気なので、早く治すために対応の工夫を心がけてみてください。
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