パニック障害の克服パニック障害とは、不安や過度なストレスが、過呼吸や動悸、ふるえなどの発作として発現してしまう病気です。

死に至ることはありませんが、呼吸ができないという恐怖は本人でなければ分かりません。

一度発作を起こしてしまうと、その場所や似たような空間、場面で発作が起きるようになり、また起きたらどうしようと不安が不安を呼んでしまう悪循環に陥ります。

著名人、芸能人の中にもパニック障害に苦しんだ、克服した、と話す方が多くみられます。

  • パニック障害の治療には抗うつ剤や抗不安薬が用いられることが一般的です。

パニック障害は決して珍しい病気ではなく、誰でもかかってしまう可能性があります。そして、克服できる病気なのです。

根本的なところに「不安」という漠然としたものがあるため、ただの気持ちの問題なのではないかと誤解する人もいますが、「治療によって完治する、脳の病気」だということを忘れないでください。

パニック障害を克服するためには、まず、知ることからです。

パニック障害にかかっている人の脳は、神経伝達物質であるセロトニンが不足、もしくは過剰になるなど、適度な量ではないといわれています。

また、扁桃体、海馬、帯状回、という不安や恐怖を司る神経回路が活動的になって、脳の最高中枢といわれる前頭前野の活動が低下します。

こう書くと恐ろしく思えますが、足りないなら補って、活動しすぎるなら抑えればいいのです。そうすれば、それぞれ元の働きができるようになりますよね。

そのため、ほとんどの場合、脳に直接作用できる薬物治療から始めます。

一般的なのはゾロフト、パキシル、レクサプロといったSSRIという種類の抗うつ剤で、これにはセロトニンを増やす作用があります。ただ、補ったからといってすぐに効果が現れるわけではありません。

抗うつ剤は、安全性、依存性の面では優れていますが、十分な効果が得られるには数週間ほどかかってしまいます。ですので、場合によってはその間、即効性のある抗不安薬を併用することがあります。

こちらは逆に、効きは早いが慣れも早い、という欠点があるので、抗うつ剤の効果を見ながら減らしていくのが一般的になっています。

薬物治療で落ち着いてくれば、ほかの治療法も提案されるかもしれません。発作が起きて不安で頭の中が混乱している初期は、話して解決できることは少ないからです。

時間がかかることと保険がきかないのが難点ですが、安全な精神療法は再発防止にも効果的といわれています。

認知行動療法は、不安の根本的な原因を探り、不安なときの自分の思考のクセを知って、発作への対処をじっくりと考えていく療法です。

認知とは、普段無意識にしている考え方やものごとの受け取り方のことをいいます。偏った考え方なんてしていない、と思っていても、環境によって知らず知らずのうちにクセができてしまうものです。

これを正していくことで、ストレスにさらされても上手く対応していける思考を育てていくのです。

不安や恐怖を感じる場所にあえて行ってみて段々自信を取り戻す、暴露療法という方法もあります。

これは、例えば人の少ない時間帯から始めるなど、ごく軽いストレスをかけることから始めなければ、失敗したときに悪化してしまうおそれがあるので、慎重に段階を追って進めましょう。

こうした様々な治療法で少しずつよくなって、身体的にも精神的にも回復していくのが理想的です。

が、いちばん大事なことがおろそかになっていてはいけません。克服どころか治療も長引いてしまうだけです。何より大事なのは「不安に拍車をかけるような生活をしていないかどうか」です。

生活リズムが不規則だと、精神的に不安定になりやすい傾向があります。運動量が足りていないと、質の良い睡眠が取れません。

質の良い睡眠を十分に取っていないと、神経伝達物質が乱れます。

食事も、回数と内容をバランスよくとらなければ、栄養が偏ってしまいます。過剰なアルコールやカフェインの摂取は、パニック発作を起こしやすくします。

喫煙は、ニコチンの作用で喫煙中は気分が落ち着いても、ニコチンが切れたときの精神状態がパニック発作を誘引してしまいます。

何かあればすぐに「規則正しい生活を!」と言われるのは、なんとなく真面目そうだから、日本人らしいから、などといった曖昧な概念ではなく、ひとつひとつに明確な理由があるのです。

自分の体を作り上げてくれている物質たちのバランスを崩さないこと。そのために、規則正しい生活が欠かせないのです。

生活リズムに問題がなくても、職場や学校、家庭などでストレスを感じることもあります。すぐに離れることのできない過剰なストレスは、少しでも軽くできるように医師だけでなく、家族、友人など周囲の人に相談してみましょう。

改めて話すことで「パニック障害は気持ちの弱さではなく、脳内のバランスが乱れたことによる病気だ」と再認識できますし、協力者がいることで安心感も増します。

パニック障害を克服するために、することがたくさんあるように見えますが、本質は至ってシンプルです。

自分でできることは自分で整え、できないところは薬で整えて、ひとりではないと安心すること。これを忘れずに、ゆっくりと治療を続けてください。

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