抗うつ剤は、飲み始めは徐々に用量を増やしていき、症状が回復してきたら徐々に用量を減らして行くお薬です。
SSRI(選択的セロトニン再取込阻害薬)に属するパキシルは抗うつ作用が強い半面、減薬・断薬にともなう離脱作用もSSRIとしては強めなので、注意が必要です。
パキシルを減薬・断薬するときに大切なことは、①病気の回復が充分でないうちに急いで減薬を開始しない、①症状の回復が見られたら、離脱症状の出かたを見ながら少しずつ減薬していく、②自己判断で減薬をしないで医師の指示に従う、の3つです。
こう書くと当然のことのようですが、実際には強い離脱症状に苦しむケースの多くは、患者さんが自己判断で減薬を急いだことが原因です。
まず、抑うつ症状から充分に回復しないうちに減薬を始めると、離脱症状が強く出ます。
抗うつ剤は脳内のセロトニン濃度を高めるお薬ですが、病気が回復して自力でセロトニンの濃度を保てるようにならないうちにお薬を減らすと、離脱症状が強く出るだけでなく、抑うつ症状がぶり返すことになります。
うつ病の治療には少なくとも半年から1年はかかります。お薬を止めるのを急ぐと結局治療期間が長びくことになりやすいのです。
次に、減薬するときはできるだけゆっくり行うことです。
例えばパキシルを1日30mgの服用で維持管理していた人なら、2週間ごとに10mgずつ減量しようとして離脱症状が出た場合は、3週間ごとに0.5mgの減薬にペースダウンすると離脱症状は起きにくくなります。
それでも離脱症状が起きたときは0.25mgごとの減薬にすることもあります。
また、パキシルにはパキシルCRという離脱症状が出にくい「姉妹品」があります。
CRというのはControlled Releaseの略で、「徐々に効き目が出る」という意味です。
パキシルCRは血中濃度の変化がゆるやかなので、減薬するときに離脱症状が出にくいというメリットがあります。
このようなやり方で慎重に減薬しても離脱症状が出た場合は、それが我慢できる範囲なら減薬に身体が慣れるまでしんぼうしてみるのが、最初の対応になります。
がまんが難しいようなら、まだ病気の回復が充分でないと考えてお薬の量を元に戻すか、パキシルよりも離脱症状がすくない抗うつ剤に変更するかを検討することになります。
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