自律神経失調症の原因暑いときには体温調節のために汗を出す、運動をするときには筋肉に血液を送るために心臓の鼓動が早くするなど、自律神経は私たちが意識しなくても身体の働きを適切に調整してくれる便利なシステムです。

しかし、この手間いらずの精緻なシステムも、私たちがその能力を過信してあまりむちゃな生活をしていると、調子がくるってくることがあります。

そして、いったん調子がくるうと、自動的に働くシステムだけにどうしてよいか分らないことが多いのです。

例えば、暑くもないのに突然汗がふきしたり、何もしていないのに突然心臓がどきどきしだしたりすると、私たちはどうしてよいか分らないばかりでなく、非常に不安になります。 続きを読む

自律神経とは自律神経、あるいは交感神経と副交感神経という言葉は、テレビや新聞などでよく見聞きしますが、あらためてそれは何かと聞かれるとあいまいな部分が多いかもしれません。

自律神経失調症をよく理解するために、もう一度その基本的な意味を確かめておきましょう。

私たちの神経は脳と脊椎にある中枢神経とそれにつながる末梢神経の2つに大別されます。末梢神経はさらに、体性神経と自律神経の2つに区別されます。 続きを読む

自律神経失調症自律神経失調症というのはテレビや雑誌などで見聞きする機会が多い言葉ですが、実は医療現場でも、この診断名を便利に使いすぎていないかという反省があります。

胃が痛い、動悸がする、などの症状を訴える患者さんを診察して異常が見つからないと、とりあえず自律神経失調症という診断をしておくことがよくあるからです。

しかし、とりあえず自律神経失調症と診断をするというのは、必ずしもいいかげんな診立てとは言えません。一昔前はこういうときはよく「どこにも異常はありません。あまりに気にしないように」などと言われて帰されていました。 続きを読む

自律神経失調症自律神経失調症は、男女別の発症頻度では圧倒的に女性が多くなっています。これは女性は生涯で女性ホルモンの変化による3つのライフ・ステージを経験するからです。

最初のステージは初潮から約40年間におよぶ月経期、2つ目は妊娠・出産というドラマチックなステージ、3つ目は閉経とそれ以後のステージです。

各ステージではエストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンの分泌量が大きく変化し、その振れ幅の大きさが自律神経失調の原因になります。 続きを読む

自律神経失調症自律神経失調症のもっとも大きな特徴は、身体のどこにでも症状が出る可能性があるということです。身体だけでなく、心のはたらきにも影響して不安になる、イライラするなどの精神症状が出ることがあります。

この症状の多様さの理由は、自律神経が身体のあらゆる器官に張り巡らされて、その働きを調整しているからです。

自律神経には交感神経と副交感神経の2種類がありますが、例えば心臓を早く動かすアクセルが交感神経で、それをゆるめるブレーキが副交感神経の役割です。 続きを読む

自律神経失調症頭痛、食欲不振、倦怠感などの症状で病院に行ったときに、MRIやレントゲン、胃カメラなどで検査をしてもどこも悪いところが見つからないと、多くの場合は自律神経失調症という診断が下されます。

しかし、自立神経失調症の特効薬があるわけでもなく、つらい症状が続くのでなお調べていくうちに、病名がうつ病やパニック障害に変わることがあります。

これは必ずしも誤診ではありません。うつ病やパニック障害などの精神障害には必ず自律神経失調症がともなうからです。 続きを読む