暑いときには体温調節のために汗を出す、運動をするときには筋肉に血液を送るために心臓の鼓動が早くするなど、自律神経は私たちが意識しなくても身体の働きを適切に調整してくれる便利なシステムです。
しかし、この手間いらずの精緻なシステムも、私たちがその能力を過信してあまりむちゃな生活をしていると、調子がくるってくることがあります。
そして、いったん調子がくるうと、自動的に働くシステムだけにどうしてよいか分らないことが多いのです。
例えば、暑くもないのに突然汗がふきしたり、何もしていないのに突然心臓がどきどきしだしたりすると、私たちはどうしてよいか分らないばかりでなく、非常に不安になります。 続きを読む
自律神経、あるいは交感神経と副交感神経という言葉は、テレビや新聞などでよく見聞きしますが、あらためてそれは何かと聞かれるとあいまいな部分が多いかもしれません。
自律神経失調症というのはテレビや雑誌などで見聞きする機会が多い言葉ですが、実は医療現場でも、この診断名を便利に使いすぎていないかという反省があります。
自律神経失調症は、男女別の発症頻度では圧倒的に女性が多くなっています。これは女性は生涯で女性ホルモンの変化による3つのライフ・ステージを経験するからです。
自律神経失調症のもっとも大きな特徴は、身体のどこにでも症状が出る可能性があるということです。身体だけでなく、心のはたらきにも影響して不安になる、イライラするなどの精神症状が出ることがあります。
頭痛、食欲不振、倦怠感などの症状で病院に行ったときに、MRIやレントゲン、胃カメラなどで検査をしてもどこも悪いところが見つからないと、多くの場合は自律神経失調症という診断が下されます。