うつ病は心の風邪じゃない「うつ病はこころの風邪」という言葉は、2000年前後に初めてSSRI(選択的セロトニン再取込阻害薬)が販売されたころに、製薬会社が使いはじめたキャッチフレーズです。

この言葉を初めて使用したのは、世界初のSSRIであるデプロメールを発売したMeiji Seikaファルマ社でしたが、世界にこの言葉広めたのは2番目のSSRIのパキシルを発売したグラクソ・スミスクライン社だと言われています。

SSRIは従来の三環系抗うつ剤などに比べて副作用が少なく安全性の高い薬として、比較的軽症のうつ病にも処方されるようになりました。

一時期米国などでは、ストレスの多い仕事をしているビジネスマンの間で抗うつ剤を服用するのがブームのような様相を呈したこともありました。

そのブーム(?)に一役買ったのが「うつ病はこころの風邪」というキャッチフレーズです。日本でもこの時期に抗うつ剤の処方が飛躍的に伸びました。

うつ病は「こころの風邪」という表現は、うつ病が特別な人がかかる病気ではなく、誰でもかかる可能性があるふつうの病気だと、いうことを世間に知らせるうえで大きな功績がありました。

しかし、風邪にたとえることによってうつ病に対して大きな誤解を与えるという罪も犯すことになりました。

その誤解とは、軽いうつ病は治療をしなくても自然に治るという考えです。

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