過呼吸とは、換気(呼吸)をしすぎてしまう発作で、突然起こるものです。
不安、緊張、恐怖など、過度の精神的ストレスによって引き起こされることが多く、まれに激しい運動や入浴、貧血や発熱、空腹感によって起こることもあります。
初めて発作を起こしたときは、過換気症候群なのか別の病気なのかを区別するため、必ず内科などを受診して状態を確認してください。
過呼吸を生じると、非常に苦しくなります。主に、息ができない、息苦しい、といった感覚に陥ります。
感覚、と表しましたが、なぜかというと、実際は呼吸がきちんとできているからなのです。
- パニック障害の治療には抗うつ剤や抗不安薬が使用されることが一般的です。
どんなに苦しくても、あくまでも「苦しい感じがする」だけで、酸素が足りていないわけではないのです。
とはいえ、呼吸できない恐怖があるため、焦ってたくさん呼吸をしようとして、よりひどくなる悪循環を繰り返します。
そのため、発作が落ち着くまで、決して慌てず待つことが大事です。
過呼吸発作は、ほかの症状を伴うこともあります。
意識が遠のく感覚、めまい、胸の圧迫感や痛み、動悸、胸がむかむかする、吐き気がする、などが主に知られています。
こういった症状は血管が収縮することによって起こると考えられています。
発作中は、息を吸おうとする回数が増えてしまうので、必然的に血液中の酸素が増え、二酸化炭素は少なくなります。
体を酸性にする役割をもつ二酸化炭素が少なくなると、血液は段々アルカリ性になっていきます。このことを「呼吸性アルカローシス」といいます。
正常なpHは7.4前後ですが、呼吸性アルカローシスになった場合、pHが7.5以上になります。
そして、血液がアルカリ性になると、血管が収縮してしまいます。
ですから、脳の血管が収縮すればめまいや意識低下が、心臓周囲の血管なら胸の痛みや動悸が、腹部周辺の血管なら吐き気や腹痛などが引き起こされてしまうのです。
こうした身体的な症状が出てしまうと、重大な病気なのでは、と思ってしまいがちですが、血管自体が悪いわけではなく、血液がアルカリ性になって一時的に血管が収縮しているだけです。
重大な病気に移行することも、後遺症が残ることもないので、必要以上に不安にならないようにしましょう。
また、手足のしびれやけいれんといった、一見呼吸とは関係なさそうな症状が出ることもあります。
それらはカルシウムイオンの低下によるものです。
血液がアルカリ性のままでは、血管の収縮など、何らかの支障が出てくるため、体がpHを正常値にしようとします。
正常に戻すには、血液を酸性にする必要があります。
そこで、液体を酸性にするはたらきを持つ水素イオンを、血液中のタンパク質から切り離します。
そこまではいいのですが、その後、タンパク質は水素イオンの代わりに、カルシウムイオンと結合します。
タンパク質に取られてしまったので、今度は血液中のカルシウムイオンが少なくなってしまいます。
そして血液中のカルシウムイオンが低下すると、手足や口唇がしびれたり、固まったり、けいれんのような震えが起きてしまうのです。
こういった症状が出ても、過呼吸が落ち着くにつれ血液のpHは元に戻っていくので、落ち着いて経過をみてください。
過呼吸発作は、命に関わるものではなく一時的なもので、後遺症も残りません。それが最大の特徴です。
数分でピークに達し、1時間以内には落ち着きます。過呼吸に伴う症状も、過呼吸がなくなれば改善されます。
不安と恐怖でパニックになり、転んで怪我をしてしまうケースもありますので、決して慌てないでください。
ただし、過呼吸が長く続いて、皮膚や粘膜が青紫色になったり、意識の混濁がみられたりする場合は、ほかの病気の可能性があるので、速やかに救急車を呼ぶようにしましょう。
過呼吸発作は一時的なものですが、一度過呼吸を起こすと、同じ状況になったときに何度も起こりやすくなります。
発作自体を抑える薬はないので、発作が起きる原因を取り除く必要があります。
精神的なストレスを解消したり、適度に避けたり、逆にその事象を受け入れてしまって楽になるなど、繰り返さないために予防することが大事です。
パニック障害や過呼吸は心療内科や精神科で診断されますが、お薬の治療では抗不安薬が処方されることが一般的です。
カウンセリングなどの精神療法、または、自律神経を整える薬物療法で治療していくことになります。漢方薬が使われる場合もあるので、安心して受診してください。
治療は、ゆっくりと。焦らないことが大切です。
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