非定型うつ病は、普通のうつ病とは治療方法が大きく異なります。
定型うつ病の場合は薬物療法が主流であり、休養をとるように勧められますが、非定型うつ病の場合は、必ずしも同様の効果が得られるとは限りません。
「生活リズムを整える」ということは、どんな病気にも有効な治療ですが、非定型うつ病の場合、生活リズムを整えるだけでかなり改善することがあります。
非定型うつ病にとって、生活リズムを整えることは治療の補助ではなく治療そのものです。薬を飲むのと同じ「治療」であることを意識して取り組みましょう。
生活リズムを整えるためには、漠然とした目標では効果が得られません。特に非定型うつ病の患者さんには明確な目標が必要です。
「朝は7時に起きる」「日中は必ず30分は散歩にいく」というような明確な目標を作り、それを守るようにしましょう。
定型うつ病で大切なのは休養ですが、非定型うつ病では、少し負荷をかけた方が治りがいいといわれています。
お仕事をしている方は、なるべく休まず、いま出来ることを続けてみることが大切です。
もちろん無理は禁物ですが、「毎日休まず、毎日完璧に」ではなく、「毎日休まず、毎日出来ることを」と、少し目標を下げてでも、継続できることが重要になります。
お仕事をしていない方も、一日横になっているのではなく、何か適度な目標を作って、それに向けてがんばることが、改善につながります。
適度な負荷をかけることで、日中の活動時間が増え、生活リズムを整える効果も出てきます。正しく疲れることで正しく睡眠がとれるようになるのです。
非定型うつ病の治療の3つの柱は、「生活リズムを整える」、「適度な負荷をかける」、そして「精神療法」です。
精神療法は、心の問題と向き合い、修正していくことで、病気を治していく治療法です。
目標達成のサポート
先程からお話していますが、生活リズムを整えることや適度な負荷をかけることは非常に大切です。でも、うつ病の患者さんが一人で計画を立てるのは難しいかもしれません。「まあいいか」と考えてしまうこともあるでしょう。
そこで、主治医や家族と一緒に計画を立てて、しっかり管理していくことが有効です。モチベーションを維持するために一緒に頑張れる存在があることで、より効果が期待できます。
非定型うつ病の症状に「拒絶過敏性」があります。これは、考えが偏ってしまっているために、他人からの拒絶に過敏に反応してしまうことをいいます。
拒絶されたと勘違いして不必要に落ち込んだり、攻撃的になることもあります。
この物事のとらえ方、考え方のクセのことを「認知」といいます。この認知が歪んでいることで、誤った行動を起こしてしまいます。これを改善していくのが「認知行動療法」です。
ある事柄に対してそれをどう感じるか、そう感じたことでどのような行動をとるか。これを繰り返し確認していくことで、考え方が偏っていることが分かり、自分の心の問題に気付けるようになります。
非定型うつ病の方は、自身の無さ故に周りからの評価を異常に気にしてしまう傾向が強いめ、偏った物事の考え方を正して改善していく必要があります。
また、非定型うつ病の方は、拒絶反応性のために対人関係に問題が出てきてしまっていることが多々あります。
この対人関係を改善させていく治療法を「対人関係療法」といいます。他者と良好なコミュニケーションをとれる方法を一緒に考えることで、対人関係が安定し、自尊心も回復していきます。
これらの精神療法は、効き目が出るまでに数ヶ月かかります。いままで積み重ねてきた考え方を変えるのですから、どうしても時間はかかります。
拒絶過敏性による攻撃性から、時に問題行動を起こすことがあります。問題行動とは、暴言や自傷行為、薬物乱用や浪費など、様々です。
こうなってしまわないように、早く気付けるためにも、定期的に精神療法を行うことが大切です。
非定型うつ病にも薬物療法は行われます。使われる薬には、抗うつ剤、気分安定薬、抗精神病薬、MAO阻害薬などがあります。
ただし、非定型うつ病の治療の3つの柱はあくまで、「生活リズムを整える」、「適度な負荷をかける」、「精神療法」であり、薬物療法が治療の主流ではありません。
また、一人で頑張るのではなく、主治医や家族と協力して行っていくものです。良い関係を作ることで、より効果が期待できるようになっていきます。
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