ワイパックスはベンゾジアゼピン系の抗不安薬で、心の不安や緊張を緩和するお薬です。即効性があり効果も強めなので、毎日定期的に服用する飲み方以外に、頓服としても使用されます。
歯の治療の後などに、痛みが出たときのためといって鎮痛剤を処方されたことがあると思いますが、そのように必要に応じて臨時に服用するのが頓服です。
したがって頓服として使用する薬は即効性が要求され、1回の服用で効き目が実感できることが必要です。
抗うつ剤のSSRIのように1~2週間服用して始めて効果が現れるようなお薬は、頓服として使えません。
ワイパックスは服用後15分ほどで効果が現れて、2時間で血中濃度がピークに達する即効性があり、効き目の強さも<強・中・弱>の「強」に位置付けられています。
血中濃度の半減期は約12時間で、効き目がピークになった後約12時間効果が持続します。
ワイパックスはパニック障害のパニック発作のときのように、急に不安が高まったときに応急処置として服用されるほか、不安や緊張が高まることが予想されるときに予防のために事前に服用されることもあります。
人前で何かをすることに異常な緊張を感じる社交性不安障害では、そういうイベントの前にあらかじめ服用しておくなどです。
快速電車に乗るとパニック発作が起きるという人は、電車に乗る前に服用します。
頓服としてワイパックスを使うときに気をつけたいのは、①なるべく低用量で使用すること、②使用回数を安易に増やさないことです。
使用回数が増えるほど薬が効きにくくなり、1回の服用量が大きくなると薬に対して依存性が生じる心配があります。
抗不安薬は、即効性があって効き目が強いほど耐性や依存性ができやすくなります。
そのリスクを小さくするために、毎日定期的に服用する抗不安薬は作用時間が長く依存性ができにくいものを選び、ワイパックスは頓服としてだけ使用するという使い方もあります。
ベンゾジアゼピン系の抗不安薬は、不安をしずめる作用の他に催眠作用と筋弛緩作用があります。
頓服としてワイパックスを服用したときは、眠気や足のふらつきの副作用に注意が必要です。車の運転や機械の操作、高所での作業などは避けるべきです。
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