飛行機内でパニック障害航空会社の増加や様々な料金プランの変化に伴い、旅行や帰省、出張などで飛行機を利用する機会が増えています。

しかし、パニック障害を患うと、移動することもままならない状態になってしまうものです。ただでさえつらい状態なのに、飛行機に乗るとすれば、どうしたらよいのでしょうか。

パニック障害になると、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れて、めまい、動悸、過呼吸などが急に起こってしまいます。

あまりの苦しさに、このまま死んでしまうのではないかと思うほどの恐怖が生まれます。

そして「また発作が起きるのでは」と不安が不安を呼んで、日常生活にも支障をきたすことになります。

悪化していくと、うつ病に移行するおそれもあるので、精神科を受診し、しっかりと治療していきましょう。

人間は、「閉じ込められた」と感じる場所にいるとき、容易に逃げられない状況になったとき、本能的に不安を感じます。

パニック障害でなくても誰でも不安になるのですから、発症していれば当然、不安の度合いは高まります。

日常生活の中でパニック発作が起こりやすい場所は、電車など乗り物全般、人ごみ、歯医者、床屋や美容室などです。人によって差はあるものの、そのほとんどは行動を制限される状況、閉鎖空間です。

飛行機の場合は、それらよりも更に拘束時間が長く、場所自体も空の上ですからどう考えても逃げられません。ほかの状況よりも厳しいといえます。

最善なのは、飛行機に乗るのを延期することです。治るまで延期、というのも悔しい話ですが、治療に専念すること、自分の体調を優先しましょう。

予定が旅行なら、治ったら旅行に行けるんだという新たな楽しみとする、仕事なら、この機会に思い切って上司や同僚に相談して交代要員を立ててもらうなど、方法はあります。

諦め方も、心持ちひとつです。前向きな諦めは完治につながります。

それでも、どうしても乗らなければいけないこともあります。その場合は、閉鎖空間の度合いを緩めるようにしてみましょう。

満席の機内と、空席が多い機内、どちらが気分的にゆったりできるでしょうか。これは交通機関も屋内でも同じで、もちろん空席が多いほうです。

ということは、連休などの混みやすい時期を避け、早朝や深夜などの空いていそうな時間帯を選ぶのがよいということです。

座席は、窓側のほうが景色で気が紛れ、人の多さも視界に入りにくい……というメリットがありそうですが、窓、つまり壁と人に挟まれる状態になります。

その点、片方が通路だと、隣に必ず空間ができます。通路側の座席のほうが、心にも少しゆとりが持てるのです。

機内でただひとつ自分の意思で移動できる場所、トイレに行きやすい、という利点もあります。

また、非常口近くの座席は前の座席との間隔が広くなっており、トイレも非常口付近にあることが多いので、こちらもおすすめです。

ただし、緊急時には脱出の手伝いを頼まれる可能性もあるので、別の不安を生んでしまうようであれば避けたほうがいいかもしれません。

頓服薬を忘れずに持ち歩くことも大事です。

常用薬とは別に、発作が起きそうなとき、起きたときに飲む即効性のある薬のことで、代表的なものは、デパス、レキソタン、ワイパックス、ソラナックスなど、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬です。

気分をリラックスさせ、不安や緊張を和らげる作用があります。作用する時間が長い薬なら、搭乗前にあらかじめ飲んでおけばちょうどいいタイミングで効いてくれます。

効果の強さや時間は薬によって違うので、医師とよく相談して、自分に合う薬を見つけてください。「いざというときはこれがある」と思うと、持っておくだけでもお守りになります。

水は機内でもらえますが、いつでもすぐに飲めるようペットボトルを常備しておくと安心です。ただ、国内線なら問題ありませんが、国際線は持ち込み禁止なので、検査を通ってから売店で購入することになります。

長時間のフライトならば、睡眠薬で眠ってやり過ごすという手段もあります。到着後のことも考慮して、睡眠リズムが崩れないよう、こちらも医師とよく相談してください。

フライト時間に合わせたものを処方してくれますが、効き目には個人差があるので、実際に飲んでみないとわからないものです。必ず試し飲みしておいてください。

国際線の場合、国によっては持ち込んではいけない薬もあります。薬については念入りに医師に確認しましょう。

もし睡眠薬を使用するならもちろんのこと、しない場合もカフェイン飲料には注意が必要です。カフェインは、パニック発作を起こしやすくします。

コーヒーや紅茶、緑茶を1、2杯程度ならそれほど影響はありませんが、なにしろ飛行機内という特殊な状況です。カフェインの入った飲み物は、当日は控えておいたほうが無難です。

家族や友人など、同行者がいる場合は確実に隣に座ってもらいましょう。信頼できる人が一緒にいることで、より一層の安心感が得られます。

客室乗務員に伝えておくのも有効です。搭乗手続き時に、カウンターで伝えても構いません。いざというときの対処法を知っている人、助けてくれる人がいることは何より心強いものです。

心の中がリラックスできたら、体もリラックスした状態にしておきましょう。フライト中だけでも構わないので、できるだけ締め付け感のない服装で過ごすことをおすすめします。

ボタンやネクタイを緩めるだけでも気分が違ってきます。

そして、いちばん忘れてはならないことがあります。「パニック発作は、数分経てば落ち着きます」。

今までこれで亡くなった人はいませんし、後遺症もありません。治療が進んでパニック障害が治るにつれ、発作も自然と出なくなります。

とはいえ、いくら知っていても怖いものは怖いですし、不安になってしまう厄介な病気です。それでも時が経てば必ず落ち着くことを、しっかり意識しておきましょう。

もし発作が起きてもすぐ治まる、死にはしない!と強く意識しておけば、心の緊張が和らいで発作が起きにくくなります。

これで準備は万端です。リラックスしてゆったりと、快適な空の旅を楽しみましょう。

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