憂鬱うつ病はメランコリー型、非定型、季節型など様々な分類があります。このうち、非定型うつ病はうつ病に特異的な身体症状が逆に出ることを特徴としています。

よく食べるしよく寝るしうつっていうわりに楽しそう。そんな症状を見て、「甘え」と誤解するひとは少なくありません。

ここでは、定型うつ病と非定型うつ病の相違点から非定型うつ病にみられる症状を紹介します。症状を理解することで、「疾患」であることを認識できるでしょう。

まず、うつ病の症状を確認しましょう。

診断基準には、抑うつ気分、興味や喜びの喪失、食欲不振、不眠、精神運動制止(考えがまとまらない、無気力)、易疲労感(つかれやすい)、無価値観、集中力の減退、希死念慮(自殺願望)の9つの症状のうち5つ以上あれば定型うつ病と診断されます。

これに対して、非定型うつ病ではどのような症状がみられるのでしょうか。

非定型うつ病でもっとも特徴的な症状は、気分反応性です。

定型うつ病では、抑うつ気分が主体となります。患者さんは「一日中気分が悪い」「なにもする気にならない」と表現します。

一方、非定型うつ病では、普段は抑うつ気分を示しますが、楽しいことや嬉しいことがあると、一転して気分が改善します。

これを「甘え」と表現するひともいるかもしれません。ですが、これは自分の気分をコントロールできない“疾患”なのです。

過度のストレスにより自律神経が上手く機能しなくなることで、ホルモンバランスや神経伝達物質が乱れるために生じる症状であり、患者さんは「楽しいことだけやりたい」なんて決して思っていません。

また、「よくない考え事をしてしまって寝付けない」「朝はやくに目が覚めてしまう」と不眠を訴えるのが典型的なうつ病です。

一方、非定型うつ病では過眠となることが多いです。長時間寝ても眠気が続き、一日中横になっていることも珍しくありません。

興味や喜びの喪失、精神運動制止から、定型うつ病の患者さんがなにかに過敏になったり衝動的な行動・発言をすることはあまりみられません。

定型うつ病にかかりやすい性格として、真面目で責任感が強いことや協調性を重んじていることなど、よい対人関係を築こうとする特徴があります。

しかし、非定型うつ病では周りからの評価を異常に気にしてしまう傾向が強く、特に拒絶されたときに過敏に反応し、大きく落ち込んだり、逆に攻撃的になることがあります。

加えて、うつ病の患者さんは「おいしく感じない」「何を食べても砂を食べてるみたい」と表現します。うつ病では気分、興味、食欲、思考、集中力ともに全体的に低下します。

これに対して、非定型うつ病では食欲の低下はなく、むしろ亢進します。そのため、過食、体重増加がみられます。

うつ病の患者さんの大きな特徴点としては「頭がずーっと重い感じがする」と頭痛や頭重感、易疲労感を訴える人がとても多いという点が挙げられます。

一方、非定型うつ病では「体に鉛が入っているような感じがする」「麻痺しているみたい」と身体全体のだるさが強調されます。

また、日内変動として定型では朝悪く夕方にかけて症状が改善してくるのに対し、非定型うつ病では朝は調子がいいのに夕方になると不調を訴えるようになります。

うつ病は抑うつ気分、意欲喪失が主体です。抑うつ気分のときは積極的になにかをしようとはあまり思いません。

しかし、非定型うつ病では気分反応性や拒絶過敏性、衝動性がみられることがあります。そういうときは、なにかをしてしまう可能性があります。

うつ病の患者さんに希死念慮があることを忘れないでください。

意欲喪失から一時的に抜け出せて行動できるようになったとき、「甘え」などといった心無い言葉をかけて追いつめてしまわないように、非定型うつ病が「疾患」であると認識することが大切です。

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