ベルソムラは2014年に発売されたオレキシン受容体拮抗薬という新しいタイプの睡眠薬です。
オレキシンとは人が目覚めた状態を保つための脳内物質で、ベルソムラはその働きを抑制することで眠りをもたらします。これは、これまでの中枢神経を鎮静させる作用の睡眠薬とはまったく違うメカニズムです。
発売からまだあまり時間がたっていないので、効果や副作用については明かになっていない点もありますが、これまでの睡眠薬に比べて副作用が少なく、安全性が高いことが注目されています。
ベルソムラの最も期待されている特徴は、これまでの睡眠薬ではつねに問題になってきた耐性と依存性がほとんどないということです。
耐性とは同じ薬を飲み続けることでだんだん効き目が弱くなってくることで、依存性とは同じ薬を飲み続けることで薬を止めようとすると離脱症状が出ることです。
現在おもに使用されている睡眠薬はベンゾジアゼピン系または非ベンゾジアゼピン系に属するお薬です。
この2つはそれ以前のバルビツール系睡眠薬にくらべると耐性や依存性が出にくいお薬ですが、やはり長期間服用を続けるとこの問題が出てきます。
このように睡眠薬は、より安全なお薬へと改良が進められてきましたが、ベルソムラに期待されている通りの安全性があれば、睡眠薬に対する耐性や依存性への心配はほぼ解消することになります。
お薬を止めた後の反動で出る反跳性不眠や、イライラや不安、発汗などの離脱症状が出る可能性が低くなるのです。
また、ベルソムラは、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬の副作用である、筋肉の弛緩作用によるふらつきや、薬の効きはじめのもうろう状態や健忘症も少なくなっています。
以上はベルソムラの副作用の少なさについてですが、肝心の眠りをもたらす効果はベンゾジアゼピン系の睡眠薬と同等のしっかりした効果があります。
ベルソムラが登場する少し前に、セロトニン受容体作動薬というやはり安全性の高い新しいタイプの睡眠薬が登場しましたが、これは眠りをもたらす効果がやや弱いという弱点がありました。
その点、安全でしかも従来の睡眠薬と効果の面で引けを取らないのがベルソムラの長所です。
ベルソムラは服用後10分ほどで効き始めて、1.5時間後くらいに効き目の効果がピークになります。眠りを維持する効果は6~8時間です。
つまり、即効性があり、人の平均睡眠時間と同じくらい効果が持続するバランスの良い作用のお薬ということができます。不眠症のタイプで言うと、入眠障害にも中途覚醒にも対応できます。
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