リスミーは現在よく使用されているベンゾジアゼピン系の睡眠薬の1つです。
この系統の睡眠薬は1970年頃からバルピツール酸系に代わって使用されるようになったものですが、リスミーはその中では比較的出番が遅く、1989年に発売になりました。
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬の中でのリスミーの位置づけは、効き目の強さではもっとも弱い方になります。また、血中濃度がピークになるのが服用後3時間なので、即効性はなく入眠障害の治療には向きません。
こう言うと、後から出てきた割にはメリットがない薬のようですが、そうではありません。たしかに効果のキレ味やパンチの強さはありませんが、睡眠薬ではそれがある意味でメリットになります。
じんわりとソフトな効果が現れるリスミーは、比較的副作用が少なく、耐性や依存性も形成されにくいからです。
使用する患者さんの実感としても、キレの良い睡眠薬のようなストンと眠りに落ちる効果ではなく、自然に眠りにつくような感じがするお薬です。
リスミーは作用時間による分類では短時間型に属していますが、半減期が8~13時間で中時間型と言ってもよい長さがあります。
入眠障害の治療には向きませんが、中途覚醒や早朝覚醒の治療には向いています。効き目がピークになるのが遅く、半減期が長いリスミーは短時間型の睡眠薬としてはユニークな存在と言えます。
リスミーがもう1つ他の睡眠薬と違う点は、法律上のあつかいです。
睡眠薬や抗うつ剤は乱用を防ぐために「向精神薬指定」を受けて、1回に30日分までしか処方できないことになっています。しかし、リスミーはなぜかこの指定を受けていないのです。
その理由は、効き目がおだやかで副作用が少ないせいかもしれませんが、実はよく分っていません。単に薬の承認のタイミングの問題で指定から漏れたとも言われています。
初めて使用する睡眠薬としては、ベンゾジアゼピン系よりも副作用が少ない非ベンゾジアゼピン系が選択されることが多いのですが、体質的に非ベンゾジアゼピン系では効果がない場合があります。
そんなときにはリスミーが最初の睡眠薬として適しています。
リスミーは副作用が少ないとはいえ、翌日への眠気の持ちこしやふらつきの副作用が出ることはあり、安易に服用量を増やすと耐性や依存性が形成される心配もあるので注意が必要です。
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