パキシルは新しいタイプの抗うつ剤のSSRIと呼ばれるお薬の1つです。
SSRI(選択的セロトニン再取込阻害薬)はその名前の通りセロトニンに集中的に作用する薬なので、それ以前の抗うつ剤に比べると副作用が少ないのが特徴です。
したがってパキシルも三環系、四環系抗うつ剤よりも副作用は少なめですが、SSRIの中では「効果も強いが、副作用も強い」という位置づけになっています。眠気の副作用もSSRIの中では多い方です。
SSRIはセロトニン受容体に集中的に作用するとはいっても、他の器官にも多少の影響はおよぼし、それが副作用として現れます。
パキシルで眠気が出るのは、抗ヒスタミン作用とα1受容体遮断作用という2つの副作用があるからです。
抗ヒスタミン作用とは、花粉症の薬で聞いたことがあると思いますが、ヒスタミン受容体をブロックして炎症などを抑える作用です。
しかし、ヒスタミンには覚醒作用があるのでそれをブロックすることで眠気が生じることがあります。
α1受容体遮断作用とは、アドレナリンの1つのα1の受容体を遮断する作用です。
アドレナリンは闘争心や緊張を高める脳内物資で、それを遮断すると血圧が下がり眠気が生じることがあります。
また、SSRI本来の作用であるセロトニン受容体への作用によっても、気分の落ちこみや不安が解消することによって、リラックスして眠気が生じる場合もあります。
このような眠気に対しては、抗うつ剤の副作用は服用に慣れると軽減する傾向があるので、1~2週間そのまま様子を見るのが最初の対応になります。
パキシルは最初10mgから服用を始めて20mg、30mgとじょじょに用量を増やしていきますが、眠気が軽減しないようなら5mgに減量して、増量のペースも5mg単位にゆるめるのも1つの対策です。
パキシルは添付文書では1日1回夕食後の服用となっていますが、眠気の副作用が強いときには寝る前に服用することもできます。
パキシルは食後に飲まなくても胃を荒らす心配はありません。
しかし、SSRIにはノンレム睡眠(夢を見ない深い眠り)を邪魔する作用があると言われているので、寝る前にパキシルを飲むことで悪い夢を見ることが多くなった、などの悪影響が出た場合はこの対策は向きません。
これらの対策を取っても眠気が改善しない場合は、他のお薬に変更することを検討します。
パキシルよりも眠気が出にくい抗うつ剤には、SSRIの中ではレクサプロ、ジェイゾロフトがあります。
またSNRIはノルアドレナリンにも作用するので、SSRIよりも眠気が出にくいお薬です。
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