ハルシオンは超短時間型の睡眠薬で、ベッドに入ってもなかなか寝つけない入眠障害の治療に適したお薬です。
即効性があり、効き目の強さもしっかりしているので、処方例が多く患者さんにも人気があるお薬ですが、その分現在の睡眠薬の中ではやや副作用が多いので注意が必要です。
睡眠薬の歴史は、近年になるほど効果の強いものが登場してきたのではなく、むしろ効果は弱くなるが副作用が少ない安全性の高いものが登場してきました。
1983年に発売されたハルシオンもそういう流れの中で生まれたベンゾジアゼピン系の睡眠薬で、それ以前のバルビツール酸系の睡眠薬より副作用が少なく安全性の高いお薬です。
しかし、ハルシオンはベンゾジアゼピン系の睡眠薬の中では副作用が強い方です。その理由は、①眠りをもたらす効果が強いこと、②即効性があること、③半減期(作用時間)が短いことに関係しています。
これらはハルシオンの長所であり、特徴なのですが、それが裏返すと副作用につながっています。
まず睡眠薬ではいちばん問題になる副作用の「耐性」と「依存性」は、効果が強く、短時間型の睡眠薬ほど出やすくなり、ハルシオンはこれに該当します。
最初はよく眠れますがしばらく使用するうちに効果が弱くなって、同じ効果を得ようとすると服用量を増やさなければならなくなります。これが耐性と呼ばれる副作用です。
服用量を増やして1ヶ月、2ヵ月と長期間服用を続けると、薬を止めると離脱症状が出るようになり、なかなか薬を止められなくなります。これが依存性です。
耐性や依存性がなるべく出ないようにするには、強い効果を求めて安易に服用量を増やさないことが大切です。
また、飲むとよく眠れるという効果に頼って、漫然と薬を飲み続けないことも重要です。あくまで睡眠薬は「眠る力」が回復するまでの一時的な対策だということを忘れないようにしましょう。
ハルシオンのその他の副作用としては、足のふらつき、服用直後の意識もうろう状態があります。
筋肉弛緩作用による足のふらつきや転倒はデパスやハルシオン、アモバンなどベンゾジアゼピン系の睡眠薬に共通の副作用ですが、早く強い効果が現れるハルシオンはこの副作用が強めに出ます。
対策としては、お薬を飲んだら起きていないですぐにベッドに入ることです。高齢者は夜中にトイレに起きたときの転倒事故に、とくに注意する必要があります。
意識のもうろう状態や一過性の健忘症は、服用直後の中途半端に薬が効いているときに出やすい副作用です。
翌朝は記憶に残っていないのに、もうろうとした意識の中で人と話をしたり、起きて歩き回ったりします。
これもやはりハルシオンの、服用後すぐに強い効果が現れるメリットの裏返しです。
対策としては、服用後に用事をしたりせずにすぐに横になることです。また、それでももうろう状態が現れるようなら、服用量を減らしてみるのも有効です。
睡眠薬の副作用には眠気の翌日への持ちこしがありますが、短時間型のハルシオンはこの副作用はめったに出ません。
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