デパスの効き目の長さ

デパス錠デパスは心の不安や緊張をやわらげる抗不安薬です。

抗不安薬は一般には精神安定剤という名前で知られているお薬で、うつ病、不安障害(パニック障害・社交不安障害・全般性不安障害)、強迫性障害などの治療に使用されています。

その中でもデパスはもっともよく使用されている、優れた抗不安作用を持つお薬です。

抗不安薬には多くの種類があり、それぞれに特徴と、メリット・デメリットがあります。

患者さんがたくさんのお薬の特徴をすべて知ることはできず、その必要もありませんが、特徴を知る1つの目安になるのが、それぞれのお薬の「最高血中濃度到達時間」(Tmax)と「血中濃度半減期」(T1/2)です。

最高血中濃度到達時間(Tmax)とは、服用してから薬の効き目がもっとも強くなるまでの時間です。

デパスは約3時間でTmaxに達します。他の抗不安薬は1～8時間なので、デパスはそれほど速効型ではないが、そこそこ早めに効果が出るタイプです。

しかし、多くは2～4時間なので、お互いにそれほどの差はありません。

血中濃度半減期(T1/2)とは血液中の薬の成分がTmaxの半分になる時間です。

これがおおよその薬の効果の持続時間になります。

デパスの半減期は約6時間なので、デパスの抗不安作用の持続時間も約6時間ということができます。

他の抗不安薬の半減期は1～200時間と非常に差があり、デパスは半減期が短いお薬の部類に入ります。

ここから分かることは、抗不安薬は効果が最大になる時間はそれほど差がないが、半減期には大きな差があり、デパスは半減期が短いということです。

デパスが通常は1日3回に分けて服用するのはこのためです。

1日に3回服用しなければならないのはデメリットですが、薬の効果が早く切れるので、症状に合わせた増量や減量のきめ細かな調整がしやすくなるメリットがあります。

抗不安薬は毎日服用する飲み方の他に、不安の症状が出たときあるいは出そうなときにだけ頓服として服用する飲み方があります。

例えば、パニック発作が起きたときに飲む、あるいは会議でスピーチする予定があるときにあらかじめ服用しておく、などの飲み方です。

デパスは頓服としてもよく使用されるお薬ですが、効きだすまでに30分くらい、効き目が最高になるまでには3時間くらいかかるので、パニック発作が出たときに飲んでも間に合いません。

パニック障害の発作にはもっと即効性がある抗不安薬が使われます。

抗不安薬を頓服として必要なときだけに使用するのは依存性が出にくい服用法ですが、毎日安定した抗不安作用が欲しい場合は定時に服用を続ける維持管理法が効果的です。

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