タバコを吸うと気分がスッキリするのは、ニコチンが脳の神経伝達物質であるドパミンやセロトニンの分泌を活性化するからです。
うつ病はセロトニンの不足によって起きるので、一見すると喫煙によってうつ病の発症を防ぐことができそうに思えます。
しかし、さまざまな研究によると、結果はむしろその逆です。禁煙補助薬のチャンピックスを発売しているファイザー社のホームページには、喫煙者は非喫煙者の2.9倍のうつ病発症リスクがあるとする海外の調査が紹介されています。
また、東京近郊に住む労働者約2,800人への調査では、1.65倍喫煙者のうつ病発症率が高かったという結果も紹介されています。
その理由としては、たしかにニコチンには気分を安定させるセロトニンの分泌を瞬間的に高める作用がありますが、常用しているとニコチンの力を借りなくては脳内のドパミンやセロトニン濃度の調節ができなくなることが考えられます。
これがニコチン依存症で、ニコチンへの依存は脳内物質のバランスを不安定にしてうつ病のリスクを高めるのです。