過食症の人に太ることへの強い恐怖心があるというと奇妙に聞こえるかもしれませんが、過食は拒食の反動であることが多く、ダイエットのストレスなどをきっかけに発症するケースがほとんどです。
過食症の人は、太ることへの過剰な恐怖心があるにもかかわらずなぜ過食をしてしまうのでしょうか?
そこには、太ることへの恐怖心、食べることへの罪悪感がかえって過食につながるという、倒錯した関係があります。
モデル体型という言葉がありますが、太っているようには見えない人でも、若い女性の多くがもっとやせたいという願望を持っています。
太っていないのに太っていると思ってしまう、というような事実と違う思い込みをしてしまうことを「認識のゆがみ」といいます。
若い女性は自分の体重や体形について、病的とは言えないまでもこのような認識のゆがみが生じていることが少なくありません。
そんな女性が「恋人に太っていると言われた」「友人に太っていることを理由に差別された」などのトラウマ的な出来事があると、認識のゆがみおおきくなり、過剰なダイエットを始めるきっかけになります。
食欲を極端に抑制するダイエットは言うまでもなく大きなストレスになります。
このストレスが過剰になると、食欲をコントロールする能力や、満腹感、空腹感という感覚に異常が生じることがあります。食べ始めると止まらなくなるという過食症の症状はここからきています。
また、肥満に対する恐怖心があるのに過食をしてしまうと、罪悪感と無力感が生じ、それがかえって次の過食を誘発するという悪循環が生じます。
過食症の典型的な症状である、過食した後に喉に指を入れて嘔吐したり、下剤を飲んだりする「代償行為」はこの罪悪感からくるものです。
過食症の原因には、このような①自分の体型に対する認識のゆがみ、トラウマ的な体験、②過剰なダイエットによるストレス、③過食することへの罪悪感、④無力感と自己評価の低さ、などがあります。
これらの原因を見ると、それがすべて心理的なものであることが分ります。
過食症は「こころの病気」で、その原因になっている認知のゆがみや誤った自己評価などを、心療内科などで専門家の力を借りて治療していく必要があります。
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