睡眠薬とアルコールは、どちらも脳・中枢神経に抑制的、鎮静的に作用します。
したがってこの2つを同時に服用すると、相互にこの作用を強めあって、単独で使用したときとは異なる「予想できない作用」が出る危険があります。
お酒を飲んだ後に睡眠薬を服用すると、ふだんなら悪酔いしない程度のお酒でも、気分が悪くなったり、二日酔いになったりすることがあります。
デパスなど睡眠薬と併用することで、アルコールの作用が予測できなくなるのです。
また、睡眠薬の効果も予測できなくなり、ふだんなら翌日に眠気を持ちこしたりしない服用量でも、日中に眠気が出る場合があります。
その反対に、効くはずの薬が効かないということも起こりえます。
このように睡眠薬とアルコールは相性が悪い物質で、「併用禁忌」というほど絶対のタブーではありませんが、できるだけ併用は避けるべきとされています。
とくに、即効性があり、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬の中では強い催眠作用があるハルシオンは、併用のタブー度が高くなります。
睡眠薬の副作用の1つに、服用直後の「せん妄状態」があります。これは、もうろうとした意識状態で歩き回ったり、人と話をしたりする症状で、翌朝はそんなことがあったことを覚えていません。
ハルシオンはこの副作用が他の睡眠薬より多く出る傾向がありますが、お酒と併用するとさらにその傾向が強まります。
以上のような短期的な相互作用の他に、睡眠薬とアルコールを併用すると「耐性」と「依存性」ができやすくなるという、長期的でやっかいな問題があります。
睡眠薬でもお酒でも、服用を続けていると同じ量では眠れなくなる、酔わなくなるという「耐性」が形成されます。
しかし、そのために飲む量を増やして長期間飲み続けると、身体から薬やお酒の成分が切れたときに離脱症状が現れる「依存」が形成されます。
つまり、どちらも耐性や依存性を形成する物質なのですが、併用するとその性質が増強されて、短期間のうちに耐性や依存性ができてしまいます。
とくにハルシオンはデパス、アモバンなどベンゾチアゼピン系の中では耐性・依存性を作りやすい睡眠薬なので、アルコールとの併用はリスクが大きくなります。
睡眠薬の服用期間中はお酒を飲まないのベストですが、お酒の誘いを断れない場合は、その晩は睡眠薬を飲まないようにする必要があります。
「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」というのはお酒と車の運転ですが、お酒と睡眠薬では「(お酒を)飲んだら(薬は)飲むな、(お酒を)飲むなら(薬は)飲むな」ということになります。
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