抗うつ薬には新旧があり、年代で分けると、旧タイプである三環系抗うつ薬と、四環系抗うつ薬、そして新タイプであるSSRI・SNRIなどの薬に分けることが出来ます。
旧タイプの薬は、抑うつ気分の改善に強力な作用を持っています。
その一方で、副作用と呼ばれる症状が出現する頻度やその程度も強くなっているのが特徴です。
一方で新タイプの薬は、抑うつ気分などを落ち着かせる作用も弱いのですが、副作用として書状が現れる頻度も少なく、その程度も弱くなっています。
旧タイプの薬は副作用が強い。そんなマイナスイメージがあるのですが、旧タイプの薬でしかできないこともあるのです。
例えば慢性的に抑うつ状態が何十年と継続しており、なかなか症状の改善が見られない場合や、抑うつ状態があまりに強くて自宅から出られなかったり、無気力になって何もできなくなったりするなど、症状が重篤化している場合などは、旧タイプのお薬の強力な作用に頼らないと、日常生活を送ることすら困難になる場合があります。
今回はそんな旧タイプの薬の1つである【アナフラニール】に焦点を当てていきたいと思います。
旧タイプの薬であり、副作用が出ることは仕方がないと言えど、出来れば副作用は抑えていきたいところですよね。
まずはどんな副作用が出る可能性が高いのかをご紹介させていただきます。そしてそんな副作用とどのように付き合っていくと良いのかについてお伝えしていきたいと思います。
アナフラニールは、三環系抗うつ薬の一種です。セロトニンを増やす力に優れており、抗うつ薬の中でも唯一点滴で投与することが出来る薬になります。
そのため、例えば栄養状態が悪くて口から食べ物を食べることが難しい場合や、あまりに落ち込んでいて食べる気力がなくなってしまう場合に、点滴で投与することが出来るのです。
そんなアナフラニールは、強力な抗うつ作用があります。一方で、副作用の出現頻度が高くなっている薬でもあります。
アナフラニールの副作用をまとめてみました。
アナフラニールの副作用としては、アナフラニールが持つ抗コリン作用による眠気や便秘、口の渇き、抗ヒスタミン作用による体重増加、抗α1受容体が遮断されることによって、ふらつきやめまいが挙げられます。
また、頻度としては稀な性機能障害なども出現することがあります。
抗コリン作用とは、アセチルコリンという神経物質の作用を抑える働きのことです。
アセチルコリンは脳の活動を高める働きをしていると言われているので、その働きを阻害することで眠気が生じてしまいます。
アセチルコリンが体に作用すると、リラックスするのを市街するような役割を果たします。
つまり緊張する状態です。すると、口は乾き、胃腸の働きは鈍り、便や尿が排泄されにくくなるのです。そのため、口の渇きや、便秘などの症状に繋がっていきます。
抗ヒスタミン作用とは、ヒスタミンと言う覚醒を促す脳内物質をブロックする作用です。
ヒスタミンは、脳を覚醒させて、食欲を抑える働きをしています。そのため、ヒスタミンがブロックされると覚醒が抑えられて眠気が生じ、食欲が増進するために体重が増加してしまうのです。
α1受容体とはアドレナリンの受容体です。アドレナリンには色々な受容体があるのですが、α1は血管を収縮させ血圧をコントロールする役割を果たしています。
そのため、抗α1受容体が遮断されると、血圧がうまく調整できなくなり、血圧をあげてほしい時にあげることが出来ません。その結果立ちくらみや眩暈と言った症状が現れやすくなります。
また、性器にも十分血液が行き渡らなくなるので、勃起障害や射精不全といった症状が現れやすくなります。
このように多様な副作用が出現する可能性がありますが、どのように対応したらよいのでしょうか。まずはしばらく様子を見てみましょう。
耐えられないくらいの副作用であれば早めの対応が必要ですが、我慢できる程度であればちょっと我慢することをお勧めします。
体が薬に慣れるまでにしばらく時間がかかるのですが、慣れてしまえば副作用が落ち着くことがほとんどです。そのため、少し様子を見てみましょう。
1週間ほど続けても変化がない場合は、医師と相談して薬を減らすか、変更する必要があるでしょう。
薬の量が少なければ副作用の程度も軽くなってくるので、医師と相談して少ない量から始めてみるのも良いかもしれません。あるいは別の抗うつ薬に変更して様子を見てみましょう。
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