アモバンに致死量はありますか？

アモバンと致死量アモバンは、不眠のうち寝付けないタイプである入眠障害に対して処方される睡眠薬です。

近年、睡眠薬を大量に服用して救急搬送されることが非常に増えています。

自殺しようと思った、楽になりたかったという理由から睡眠薬の過量服用をする患者さんは後を絶ちません。

しかし、過量服薬で楽になれるという考えは誤りで、実際には病院での苦しい処置が待っています。

今回はアモバンの致死量と、過量服薬に待ち受けているつらい現実についてお話していきます。

アモバンの過量服薬によって自殺することは出来ません。

過量服薬で亡くなる場合は、薬の作用ではなく、大量の薬剤によってのどを詰まらせてしまうことで起こる窒息ですが、これもなかなか難しいでしょう。

薬の作用としては呼吸抑制も考えられます。しかし、その作用を得るためには数万錠を一度に服薬する必要があり、現実的ではありません。

アモバンは即効性のある薬なので、数十錠飲んだ頃には眠りに入ってしまいます。よって、アモバンの致死量というものは、現実的にはありません。

アモバンを過量服薬すると、薬の睡眠作用によって寝ることになります。

通常の投与と違うことは、血液中の睡眠薬の濃度が高くなっているため、目が覚めてからも鎮静が続いて気分は落ち込み、また副作用として頭重感や倦怠感が生じることで、楽になるどころかより気分が悪くなることでしょう。

大量の薬を手に寝ているところを発見されると、過量服薬で意識を失っていると思われて救急搬送されることになります。

救急搬送されると、鼻からチューブを入れて胃の中の薬物を直接洗う「胃洗浄」という処置がとられます。この処置が苦しいことは想像するまでもありませんね。

その後、頭重感や倦怠感の中、採血やレントゲン、CTなどの様々な検査が行われます。

また、血液中の睡眠薬の濃度を下げるため、点滴で大量の水分を身体に取り入れることになります。

大量に水分を入れることで、尿量も増えますが、睡眠薬の影響で強い鎮静がかかっていると頻繁にトイレに行ける状態ではないので、尿カテーテルを挿入されることになります。

尿カテーテルは膀胱内に管を留置して、受動的に排尿させる方法で、点滴の大量投与の際には不可欠です。

挿入の際には痛みもありますし、カテーテルが入っている間はどうしても違和感をなくすことはできないでしょう。ちなみにこれは抜くときも痛いようです。

そして、一度でも過量服薬歴があれば、病院側も薬を処方するのに慎重になります。

すると、一回で処方される量が減って病院に通う回数が増えることになったり、治療に必要であっても作用の強い薬を出すのにはためらいが生じてしまいます。

適切な薬が出せなくなってしまえば、それだけ治療に時間がかかることになります。なにひとついいことがありませんね。

過量服薬する背景には、もうどうなってもいい、死んでしまいたいというようなつらい背景がある場合がほとんどです。

ですが、過量服薬で一時的に現実逃避した後に待っているのは、治らない頭重感や倦怠感、胃洗浄や点滴、尿カテーテルなどの苦しい処置、主治医との信頼関係に傷をつけるなど、何の解決にもなっていないどころか、状況を悪化させてしまいます。

つらさから逃れるために過量服薬する勇気を、相談する勇気に換えてみましょう。

そのつらさは、つらい出来事があったことだけではなく、つらさを共有できる人がいないことからもきているのではないでしょうか。

過量服薬をして余計につらい思いをするよりも、誰かに話してしまった方がずっと楽になります。

近くに話せる人がいない時は、ぜひ主治医に話してみてください。そのための主治医です。

過量服薬では余計なつらさと後悔しか得られません。過量服薬をするとどうなるか、万が一過量服薬したくなった時は、よく思い出して下さい。

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