月経前症候群(PMS)という病気は聞いたことがあるが月経前気分不快障害(PMDD)は初耳だという人が多いのではないでしょうか?
この2つは症状に共通した点もありますが、異なる点が多く、別の病気です。
共通しているのは、どちらも月経前に症状が出て、月経が始まると自然に治ることですが、月経前症候群(PMS)は身体症状と精神症状の両方が出るのに対して、月経前気分不快障害(PMDD)は精神症状のみが現れます。
また、その精神症状の程度がPMSより重症だという特徴があります。
ちなみにPMSの身体症状は、ホルモンバランスの変化からくる自律神経の失調によるものが中心で、多い症状としては頭痛、肩こり、腹痛、むくみ、乳房の張りや痛みなどがあります。
PMDDの精神症状はうつ病1種の非定型うつ病の症状と非常によく似ています。
具体的には、うつ病に共通する気分の落ちこみ、意欲の低下と、非定型うつ病によくある、感情の不安定(突発的な怒りや悲しみ)、イライラなどです。
また、不眠よりも過眠が出やすい、食欲不振よりも過食の傾向が出やすいのも非定型うつ病と似ています。
PMSとPMDDはどちらも月経前の1週間くらいに症状が出るので、女性ホルモンのバランスの変化が関係していることは確かですが、詳しい原因は分かっていません。
どちらも低用量ピル(経口避妊薬)を服用して女性ホルモンのバランスを安定させると症状が改善することからも、それが確かめられます。
また、月経前気分不快障害(PMDD)の治療では抗うつ剤のSSRI(選択的セロトニン再取込阻害薬)が効果を発揮するので、PMDDの発症には脳内のセロトニン濃度の低下が関係していると考えられています。
PMDDの治療は、産婦人科を受診すると低用量ピルの使用がまず検討され、精神科や心療内科を受診するとSSRIの使用がまず検討されることになります。
PMSに比べるとPMDDは低用量ピルだけでは充分な効果が得られないことが多いので、気分の落ち込みや感情の不安定などの精神症状が強い場合は、精神科を受診する方が良いかもしれません。
PMDDの辛さを軽減する日常生活の注意としては、バランスのとれた食事で必要な栄養を確保することと睡眠時間を充分とることが重要です。
症状が出ているときは感情の起伏が激しくなるので、他人と衝突して人間関係を壊してしまうことが起こりがちです。
恋人はもちろん、できれば会社の同僚にも病気について伝えて理解を求めるようにしましょう。
また、症状が出ているときは、会社を辞めるとか、恋人と別れるなどの、重大な決断をしないようにしましょう。
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