強迫性障害とは、ある考えにとらわれてしまい、何度も同じことを執拗に繰り返してしまう精神疾患です。
強迫性障害の治療法として、精神療法と薬物療法があります。
強迫性障害の治療は容易ではありませんが、しっかりと段階を踏んで行うとで、症状を治すことができる疾患で、薬物療法は重要な治療法になります。
ここでは、強迫性障害の薬について解説していきます。
強迫性障害で使用される主な薬剤は「抗うつ剤」となります。
抗うつ剤にもいくつか種類がありますので、その薬剤について説明します。
まずは「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」という薬です。
強迫性障害では、セロトニンを増やすことが効果的であると知られていますが、SSRIは抗うつ剤の中でも「セロトニン」を増やす作用に特に優れています。
さらに副作用も比較的少なく、他の重要な物質(ノルアドレナリンやドーパミン)には影響がありません。
また、SSRIにはセロトニンの再取り込みを阻害する作用があります。これはセロトニンの再取り込みが阻害されるため、セロトニンの消費が抑えられることでセロトニン濃度を上げさせる効果があるのです。
安全性も高い薬剤ですので、治療初期段階に適したものです。
SSRIで効果が不十分の場合、「三環系抗うつ剤」と呼ばれる薬剤を用いることもあります。
三環系抗うつ剤は強い作用の薬ですが、副作用も強く重篤な場合もあるため、使用には注意が必要です。
また、デパス、ワイパックス、マイスリーなど「抗不安薬」が治療薬として使用される場合があります。
抗不安薬のほとんどは、「ベンゾジアゼピン系」の薬剤となりますが、メリットとしては「即効性」があげられます。
抗うつ剤は効果が出るまでに、数週間を要しますが、抗不安薬は服用後15分ほどで効果が出ます。
ただしベンゾジアゼピン系の薬剤は耐性・依存性を持っていますので、長期に渡り多く服用するということは避けるべきです。
主に統合失調症の治療薬としての薬剤は「抗精神病薬」と呼びます。
補助的に抗不安薬や睡眠薬など、不安・不眠を軽減するものや、SSRIや三環系抗うつ剤で効き目が不十分な場合は、脳のドーパミンの働きをブロックする抗精神病薬を使用する場合があります。
妄想を伴うような症状がある場合、抗うつ剤のみでは効果が不十分となる場合に使用されます。
強迫性障害の場合、抗精神病薬はあくまでも補助的な薬剤ですので、統合失調症よりも低用量となります。
一般的に強迫性障害では、他の精神疾患と比べ高用量の薬剤が必要となる場合が多く、服用する患者さんによっては、そのことが嫌になる場合もあります。
用法と容量を守って、しっかりと薬を服用することが、疾患の改善には必要なことです。
ご本人だけでなく、周りの方もきちんと用法・容量を守って服用できるよう、協力が必要です。
ただ、強迫性障害は、比較的「薬剤が効きにくい疾患」です。
他の精神疾患と比べても、高用量を服用することとなりますが、「ベンゾジアゼピン系」の薬は注意が必要です
ベンゾジアゼピン系の抗不安薬や睡眠薬が処方される場合がありますが、これらは耐性・依存性を持っています。
耐性とは、体が薬に慣れてしまい、薬の効果が悪くなることです。耐性ができると、効果が出るには多くの量を服用する必要が出てしまいます。
このとき、依存性ができてしまうと、薬を飲まないと不安になり、発汗や震えといった離脱症状が出るようになってしまいます。
用法・容量を守ることが重要ですし、その範囲内でも効き目が悪いようなときは、自己判断で飲みすぎたりしないよう、必ず主治医へ相談しましょう。
そして強迫性障害では、薬物療法だけでは治療の限界があります。
強迫性障害の場合、「認知行動療法」や「暴露反応妨害法」などの精神療法も並行で実施する必要があります。
薬物療法と同時に実施することが効果的と言われていますが、初期治療では薬物療法が主となる場合も多いのも事実です。
ある程度症状が落ち着いてきたら、精神療法も治療として取り入れることが重要となってきます。
強迫性障害の治療薬まとめ
強迫性障害では、薬物療法として薬剤の服用が重要です。
また、高用量となることも説明しましたが、用法・容量を守ることが非常に重要となります。強迫性障害での薬物療法は、長くなる傾向にあります。
症状が安定したとしても、1~2年は服薬を続ける必要がありますので、耐性・依存性を持つ薬剤が処方されている場合は、特に注意するようにしてください。
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