妊娠中のデパス服用デパスは不安障害などの患者さんの不安や緊張をしずめる抗不安薬(精神安定剤)です。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬の1つで、そのなかでも不安をしずめる作用が強いので、よく使用されているお薬です。

このデパスの服用中に妊娠が分った場合はどうしたらよいでしょうか。

まず、デパスの添付文書には「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」と書かれています。

これは「できるだけ使わない方が良いが、使わないことで母親の健康に大きな不利益がある場合は使用もやむを得ない」という意味です

できるだけ使わない方が良い、という理由を添付文書では、以下のように説明しています。

  • 妊娠前期(~3か月)に使用すると動物実験で奇形が多くなるという報告があるから。
  • 妊娠後期に使用すると新生児に傾眠、低体温、筋緊張低下、仮死などの報告があるから。

また、日本の厚生労働省にあたる米国FDAでは「薬剤胎児危険度分類基準」で、デパスを含むベンゾジアゼピン系抗不安薬を、5段階のうちで2番目に高い危険度にランク付けしています。

1番目は「使用禁忌」なので、絶対に使ってはダメとは言えないが、その中ではもっともリスクが高い薬ということになります。

では、実際にはデパスの服用中に妊娠が判明した場合はどう対処したらよいのでしょうか。

もちろん、妊娠の中絶はここでは論外とします。

まず考慮したいことは、ベンゾジアゼピン系の中でもデパスよりも作用や副作用が弱いお薬へ変更することです。

それがむずかしい場合は、デパスの服用量をできるだけ減らすのも1つの方法です。

飲む必要があるからデパスを飲んでいるわけですが、デパスは不安を解消する効果が高いお薬なので、その効果を頼って漫然と服用を続けている場合があります。

妊娠のあるなしに関わらず症状が改善してきたら減薬を始めなくてはなりませんが、妊娠が分ったときにはとくに、それをきっかけに減薬を検討すべきです。

ここまでお読みになってわかるように、この問題にはすっきりした簡単な解決法はありません。

妊娠を止めるわけにも、お薬を急に止めるわけにもいかないからです。

リスクを承知しながらできるだけリスクを少なくするというのが現実的な対応ですが、こうと決めたら過剰に心配せずにそれでやってみるという決断も重要です。

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