ワイパックス舌下錠錠剤型のお薬はほとんどが「内服薬」ですが、飲み込まずに舌下の粘膜から薬の成分を吸収する「舌下錠」もあります。

その代表的なものが、狭心症の発作を起こしたときに使うニトログリセリン舌下錠です。

舌下錠は内服薬より即効性があるので、心臓の酸素不足を1秒でも早く解消するために狭心症の薬は舌下タイプになっています。

ベンゾジアゼピン系の抗不安薬であるワイパックスは、即効性があるので不安が大きいとき、あるいは大きくなりそうなときの頓服としても使用されます。

舌下錠として設計されたお薬ではなく、ふだんは内服薬として使用されますが、パニック障害の患者さんがパニック発作を起こしたときなど、文字通り1秒でも早く発作の恐怖から解放されたいときに舌下錠として使用されることがあります。

鏡で舌の下を見ると、青い静脈がたくさん粘膜の下に走っているのが見えます。その血管から直接お薬の成分を吸収するのが舌下錠で、早ければ服用して数秒で効果が現れます。

それに対して内服薬は、胃から小腸に移動し、小腸で門脈という肝臓へ通じる血管に吸収され、肝臓である程度代謝されてから血管に送られ、やっと目標の臓器(抗不安薬の場合は脳)に届くという「回り道」をします。

内服薬は回り道をするだけでなく、目標臓器に成分が届く前に1回肝臓を通過しているので、そこで有効成分がある程度代謝・分解されて効果が目減りしています。

これを初回通過効果といいますが、舌下錠ではこの目減りがないのもメリットです。

ワイパックスは内服しても15分くらいで効果が現れるので、会議でスピーチをする前にあらかじめ飲んでおくというような場合はそれで十分間に合います。

しかし、パニック発作などのときは、できればもっと早く効いてほしいわけです。

また、そんなときに身の周りにお薬を飲むための水があるとは限らないので、その意味でも水なしで服用できる舌下錠は便利です。

しかし、ワイパックスのメーカーであるファイザー社は、実験の結果ではワイパックスの経口投与と舌下投与には薬物動態の有意な差はなかったとしています。

添付文書でも舌下投与には触れられておらず、経口投与の薬としてあつかわれています。

ところが一方では、舌下投与での即効性を実感している患者さんが少なくないのも事実です。ワイパックスは、基本はあくまで経口投与の薬としても、緊急の場合には舌下投与もあり得ます。

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