パニック障害(Panic Disorder)は、急性の強い不安発作を繰り返すことが特徴的な症状である疾患です。
不安発作とは、動悸、眩暈、息苦しさという体の症状のことを指し、「もしかしたらこのまま死んでしまうのかもしれない」という強烈な心理状態に陥ります。
パニック発作の原因はまだはっきりしていませんが、脳機能の異状によって生じるのではないかと言われています。
また、乳酸・炭酸ガス・カフェインといった物質に誘発されやすいことも指摘されています。つまり、体の疲れ、睡眠不足、カフェインの過量摂取、体調不良などが重なると、発作が生じやすくなると考えられます。
女性に多く、発症率は男性の2倍であるとも言われています。
パニック発作は何の前触れもなく突然始まります。そして、心臓がどきどきし(動悸)、息が上手くできなくなり(呼吸困難)、めまいがするようになります。
お腹がぎゅっとつかまれたような不快感を受け(腹部不快感)、自分が自分でなくなってしまう(非現実感)ように感じる中の、少なくとも4つの症状を一度に経験します。
周りの人に慌てて救急車を呼んでもらっても、病院に着くころにはけろりとしており、体の異常は特に認められません。
自分でもなんだったのだろうと思いながら帰宅するのですが、しばらくしたらまた同じような発作が繰り返されます。
病院で調べてもらっても異常がない。そのことで本人は「もしかしたら演技だって思われているのかもしれない」「体の問題じゃなくて心の問題だとしたら私の心が弱いせい?」と思い悩むようになります。
そして、「もしかしたらまた発作が起きるんじゃないか」と、発作を予測して不安になる【予期不安】という状態に陥り、不安がどんどん増大するという悪循環に陥るようになります。
予期不安とは、「次に発作が怒ったら死ぬだろうな」「もしかしたら狂っている人だと思われるかもしれない」「人に迷惑をかけるかもしれない」「事故を起こすかもしれない」という様々な不安を総称したものになります。
常に不安を抱えている状態になるので、あまり慣れ親しんでいない場所に移動することが怖くなります。遠くまで外出することが出来なくなり、場合によっては家から出られなくなる人もいます。
また、そんな風になってしまった自分を責め、ストレス状態が続くことで自分を責め、中にはうつ病へと移行してしまう人もいるので、早期に適切な治療を行うことが重要になります。
パニック発作の治療は投薬治療がメインになります。発作の最中は脳内のセロトニンが減少していることが指摘されており、セロトニンを補ってくれるような抗不安薬や抗うつ薬を使用した治療がメインになります。
精神科を受診して医師と相談をしながら適切な治療を開始することが大切です。
治療を始めると言うだけでも、もしかしたら「自分が病気なんだ」と責める必要が無くなり、何かあれば医師に頼ることが出来るという安心感につながるかもしれません。
パニック発作の原因はいまだ良く分かっていませんが、いくつかの要因が重複して引き金になる可能性があることは指摘されています。
元々不安が強い人や、悲観的な考え方をする人は、ベースの不安が強いのでパニック発作を起こしやすい状態になっています。
また、幼少期に恵まれない環境で育った場合も、周りの目を気にし、常に緊張している用事な状態で成長しています。
漠然とした不安感を抱えていることが多いため、パニック発作のきっかけとなりやすくなっています。
また、喫煙やストレスとの関連も指摘されています。喫煙をすることで一時的にはリラックスすることが出来ても、継続して喫煙をするとニコチンが多く摂取され、長い目で見るとストレスが高まると言われています。
また、ストレスも一時的なものでも慢性的なものでも、本人にとっては負担となり、不安感へと繋がりやすくなります。
そのため、パニック発作の一つの要因になる可能性があると言われています。しかし、これらの要因があるからと言って必ず発作が生じるわけではありません。
パニック発作は体の病気でもあり、投薬治療が奏功することが証明されているため、もし何か心当たりがある場合は、専門機関を受診して適切な治療を行ってみてください。
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