デパスは「抗不安薬」の1つで、一般的には「精神安定剤」と呼ばれるお薬の仲間です。
現在使用されている抗不安薬のほとんどは「ベンゾジアゼピン系」のお薬で、デパスもその1つです。
ベンゾジアゼピン系抗のお薬は、中枢神経のGABA受容体という器官に作用して神経活動を抑制するはたらきがあり、それによって①抗不安作用、②筋肉弛緩作用、③催眠作用、④抗けいれん作用をあらわします、
デパスはこのうちの抗不安作用と筋肉弛緩作用がとくに強く、現在世界でもっともよく使用されている抗不安薬です。
しかし、効果が強い半面、薬に対する依存性が生じやすく、副作用も多めなので、注意深い使用が必要とされています。
デパスが使用される病気とその適応は次のようなものです。
- 不安障害(パニック障害、社交性不安障害、全般性不安障害)の不安・緊張を軽減する
- 強迫性障害の強迫観念の軽減
- うつ病の不安、睡眠障害の改善
- 心身症の肩こり、筋肉痛、高血圧、胃・十二指腸潰瘍の改善
- 統合失調症の睡眠障害の改善
- 頸椎症,腰痛症の改善
デパスは不安を取り除く効果が大きいのですが、効果の持続時間(血中濃度の半減期)が6時間と短めです。
そのために生じやすいのが、お薬の効果が薄れてくるとすぐに服用したくなる依存性です。
不安や緊張はたいへんつらい症状なので、お薬を求めたくなる気持ちは分かりますが、飲む回数や量を増やしていくと身体がそれに慣れて依存性はどんどん高くなってきます。
服用量や服用期間は、まず医師の指示を守ることが基本です。
デパスは不安をしずめる効果が高く、即効性のあるお薬です。服用してから30分ほどで効果現れはじめて、約3時間後に血中濃度が最高に(もっとも効果が高く)なります。
そのため、不安が強くなった時、あるいは緊張や不安が高まることが予想されるときに頓服として使用されることがあります。
たとえば、社交性不安障害の人が結婚式でスピーチをしなければならないときに、その予定の時間に合わせてあらかじめ服用しておくなどの使い方です。
抗うつ剤のような即効性のないお薬は毎日服用して維持管理しなければなりませんが、デパスのような抗不安薬は頓服として使用するだけで充分な場合は、その方が依存性が出る心配が少なくなります。
デパスは効果が強い半面、副作用も強めにでます。
デパスで注意しなければならない副作用は筋肉の弛緩作用にともなうふらつきや転倒事故です。
高齢者、とくに女性の高齢者は骨量が減少していることが多いので転倒による骨折には十分注意が必要です。
デパスは催眠作用による眠気の副作用も比較的多く出ます。
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