抗うつ剤のような、服用を始めてから効果が出るまでに数週間かかるお薬は「頓服」として服用することはできません。
しかし、抗不安薬(精神安定剤)は効き目が数十分~数時間以内に出るので、症状が出たときだけ、あるいは出そうなときだけ頓服薬として使用することができます。
デパスはキレのある抗不安作用があるうえに、服用してから30分くらいで効果が出だし、約3時間で薬の血中濃度がマックスになる(効き目がもっとも強くなる)こと、半減期(効き目が持続する時間)が6時間と短いことから、頓服としての使用にも適しています。
頓服としてデパスが使われるのは、あがり症の人が緊張しそうな場面に備えてあらかじめ服用しておくなどのケースがもっとも多いようです。
宴会でスピーチをしなければならない、顧客と会食をしなければならない、などのときです。
薬の効き目がもっとも強くなるのが服用してから3時間後なので、催しの2時間くらい前にのんでおけば確実です。
その他、閉所恐怖症や高所恐怖症の人が、やむを得ずそのような場所に行く場合にも、あらかじめ服用しておけば効果が期待できます。
パニック障害の発作は30分も続かないので薬が効きだす前に治まってしまうことが多いでしょうが、不安が強くなった時に服用する飲み方もあります。
デパスは筋肉の緊張をほぐす作用も強いので、肩こりや緊張性の頭痛の頓服として使われることもあります。
デパスを頓服として使用する場合は、ふつうは0.5mgを服用しますが症状に応じて0.25mgや1mgで使う場合もあります。
必要以上の用量を飲むと、筋肉の弛緩作用が強すぎて足がふらつくなどの副作用が強く出ることがあります。
不安を抑える効果は毎日決められた用量を服用する方が強くなりますが、注意しないと依存性が出て薬を止めるときに苦労することになります。
その点、頓服として必要なときにだけ服用するのは、依存性が出る心配が少なくなります。
しかし、頓服として利用するときも、必要最小限の服用量に抑えることと、服用回数をなるべく少なくすることは非常に大切です。
用量や服用回数が多いほど薬の効果が出にくくなるのが早いうえに、副作用が大きくなります。
デパスは効果が最大になるまで3時間ほどかかりますが、抗不安薬の中には1時間ほどで効果が最大になるお薬もあるので、パニック発作のときなど、より即効性が求められる場合はそちらの薬に変更することもあります。
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