うつ病とうつ状態ご自身やご家族が精神科を受診し、“うつ状態”と診断されたご経験はありませんか?

そして、診断内容が「うつ病」ではない事に疑問をお持ちになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回はそんな“うつ状態”について解説していきます。

まず、うつ状態とは、「自分自身や周りのことなどに対する関心が薄れ、何事においても意欲が湧かない状態」のことをいいます。

例えば

  • 慢性的に倦怠感がある。
  • 食欲がないなど、何事にも意欲が湧かない。
  • 憂鬱で気分が落ち込む。
  • 夜、眠れない。

などの“状態”を示します。

しかし、数値を用いた明確な診断ではないので、「うつ病」と病名をつけることはなく、あくまでも「うつの状態にある」というものです。

例えば、受験や仕事で失敗した等、ショックな出来事によって気分が落ち込んでしまった状態も“うつ状態”だと言えます。

逆に、症状の数や期間など明確な診断基準に当てはまる場合は「うつ病」という疾患であると診断されます。

すなわち、うつ状態になる原因は「うつ病」だけに限らず、病気以外でも様々な要因によってうつ状態になることがあるということです。

次に、「診断書に”うつ状態”と記載することの意味」について解説します。

初診の患者が診断書を必要としている場合などに、初診で確実な診断を下すのは難しく正確な病名が判断できない場合などに、仮診断として“うつ状態”と記す場合があります。

本来、「うつ病」と診断するためには「問診」と「検査」が必要ですが、少なくとも2週間ほど前からの気分の変化や日常生活での様子を診断して判断する必要があります。

また、正式に病名を診断できない場合でも、周囲のサポートが必要なケースが多々あります。

診断書に“うつ状態”と記すことで「うつ病ではないが、周囲のサポートが必要である」と周りに伝えやすくなり、患者を取り巻く環境を素早く改善する事ができます。

このように、診断書に”うつ状態”と記載することは、患者を医療的に守る大きな役割を持っています。

もし、以下のような状態が続く場合は治療が必要な“うつ状態”である可能性があります。

  • 食欲不振や不眠など日常生活に支障が出ている
  • そのような、うつ状態が2週間以上続いている
  • 何事においても意欲が湧かず家事や仕事に支障が出ている
  • そのことによる焦燥感はあるが、自分の感情のコントロールができない

このような状態が続いている場合には薬による治療などを必要とします。しかし、うつ状態は様々な病気や要因で起こり得るため、治療方針は原疾患や症状によって大きく異なります。

そのため、治療を進める上で主治医との密なコミュニケーションや信頼関係がとても大事になります。

まとめ

“うつ状態”は病名ではないという事を解説してきましたが、当事者にはとても辛い症状です。

もしも、強い“うつ状態”を感じて日常生活に支障が出た場合は、決して無理をせずに早めに受診するようにしましょう。

自分以外にそのような状態の人がいた場合も、異変に気づいてサポートできるようになりたいものですね。

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